ウクライナ当局によると、8日昼間に首都キーウ(キエフ)など各地でロシアのミサイル攻撃があり、全国で少なくとも民間人36人が死亡した。写真はキーウの小児病院(2024年 ロイター/Gleb Garanich)
ウクライナ当局によると、8日昼間に首都キーウ(キエフ)など各地でロシアのミサイル攻撃があり、全国で少なくとも民間人36人が死亡した。キーウでは中心部にある小児病院が大きな被害を受け、戦争犯罪に当たるとの非難も出ている。
日中の攻撃は珍しく、キーウのクリチコ市長によると、首都に対する攻撃は2022年2月のロシアによる全面侵攻開始以来、最も規模が大きいものの1つだった。
<国連安保理、9日に会合>
国連のグテレス事務総長は、小児病院を含む医療施設への攻撃は「衝撃的」だったとし、ロシアの攻撃を強く非難。外交筋によると、国連安全保障理事会は9日午前に会合を開く。会合の開催は米英のほか、フランス、エクアドル、スロベニアが要請した。
ウクライナの検事総長は、国際刑事裁判所(ICC)のカーン主任検察官と今回の攻撃について協議したと表明。ICCと今回の攻撃に関する証拠を共有するという。
<ゼレンスキー氏、同盟国に断固たる対応呼びかけ>
ウクライナ空軍によると、飛来したミサイル38発のうち30発を防空システムで撃墜。内務相によると、キーウのほか、中部クリブイリフ、中部ドニプロに加え、東部の2都市で、住宅や医療施設を含む民間の建物50棟が被害を受けた。
ポーランドを訪問中のゼレンスキー大統領は、ウクライナの同盟国に断固たる対応を取るよう呼びかけた上で、ロシアに報復すると表明した。
保健相によると、被害を受けたキーウの小児病院は最新の設備を備えた国内最大規模の病院。5つの病棟が被害を受けた。
ロイターが入手した動画には、小児病院に向かってミサイルが空から落下し、その後大爆発が起こる様子が映っている。ウクライナ保安庁は、このミサイルはKh─101巡航ミサイルと特定した。
救急当局によると、キーウに対する一連のミサイル攻撃の2時間後に別の攻撃があり、少なくとも21人が死亡、65人以上が負傷した。2回目の攻撃のミサイルの破片が別の病院を直撃したという。
キーウではこのほか、変電所3カ所と電力網が被害を受けた。
救急当局によると、ゼレンスキー氏の出身地クリブイリフで11人の死亡を確認。47人が負傷した。東部ドネツク州ポクロウスクではミサイルがポクロフスクの工業施設を直撃し3人が死亡。中部ドニプロでは1人の死亡が確認された。
ロシア国防省はこの日の攻撃について、ロシア軍がウクライナの防衛産業施設や航空基地などを攻撃したと発表した。
北大西洋条約機構(NATO)が9─11日に米ワシントンで開く首脳会議にはゼレンスキー大統領も出席するとみられている。
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