イスラエル軍は8日、パレスチナ自治区ガザ地区の最大都市ガザ市で、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のガザ事務所などを対象に「対テロ作戦」を始めたと発表した。内部にイスラム組織ハマスの武器があるとの情報を得たとしている。
ロイター通信などによると、イスラエル軍は8日、ガザ市中心部に向けて3方向から戦車部隊を侵攻させ、激しい空爆も加えた。市内のアハリ・アラブ病院にミサイル2発が着弾したとの報道もある。近隣エリアの住民に退避勧告も出したが、避難先を見つけられず、路上で寝泊まりせざるを得ない人も出ているという。
イスラエル軍はガザ市を含む北部を「制圧した」としているが、その後もたびたび市内で軍事作戦を実施している。ガザの保健当局は8日、これまでの戦闘による死者は3万8193人になったと発表した。
一方、休戦に向けた交渉は少しずつ動き始めている。中東メディアや米ニュースサイト「アクシオス」によると、イスラエル総保安庁(シンベト)のトップや米中央情報局(CIA)のバーンズ長官は8日、仲介国エジプトを訪れ、停戦案について協議した。バーンズ氏は10日、カタールでも関係国との協議に臨むという。
ただ、イスラエルのネタニヤフ首相は7日の声明で、交渉に臨む「原則」として▽戦争目的を達成するまでは戦闘再開を認めること▽エジプトからハマスに武器が密輸されないこと――など4点を挙げ、「イスラエルが同意した案は、戦争目的を侵害せずに人質解放を実現するものだ」と強調した。これに対し、ハマスは8日、ネタニヤフ氏が「侵略をエスカレートさせ、交渉の新たな障害を生み出している」と非難しており、先行きは見通せない。【カイロ金子淳】
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