Newsweek Japan

<7月9日発売、ニューズウィーク日本版「まだまだ日本人が知らない 世界のニュース50」特集に掲載された50問のクイズ。最終5問の答えを本記事で発表します>

・店も列車も学校も、万引天国アメリカ
・テイラー・スウィフトはブラジルの救世主
・戦時下ウクライナでワインツーリズム
・世界3位のドイツ経済、実は絶不調
・電動自転車が燃えるチャイナボカンの恐怖
・半導体の台湾、次はAIの中心地に
・アフリカと欧州を海底鉄道が結ぶ日
・高知能ゾウの挨拶ツールは糞!
・月に置き去りにされたクマムシは今......

いくら報道を追ったところで、世界で起きていること全てを知ることはできない――。報道が伝えない仰天事実をお伝えする、ニューズウィーク日本版「日本人が知らない 世界のニュース50」特集。好評をいただいている毎年恒例の特集が、スケールアップして帰ったきた。

今年は、世界の今が見える「激ムズ」クイズも50問用意した。最終5問は編集部5人からの挑戦状。「スペシャルクイズ」として、詳しい解説付きの答えをウェブサイトのみで発表します(※残り45問のクイズと答えは誌面でご覧ください)。

Q.46 露出度の高いファッションで知られ、たびたび「公然わいせつ」騒動を起こしてきたセレブのビアンカ・センソリが、これまでに披露「していない」服装はどれ?


――出題・編集F

UEFAチャンピオンズリーグのインテル・ミラノ対アトレティコ・マドリードの試合を観戦するビアンカ・センソリ(左)と黒いフェイスマスクを纏った夫カニエ・ウェスト(2月20日、ミラノ) Alessandro Garofalo-Shutterstock

①全裸に透明のレインコート
②裸の体にビニールテープを貼っただけ
③全身シースルー、股間だけスマホで隠す
④全身黒ずくめで胸だけ丸出し

A. 解答はこちら


Q.47 次の管弦楽曲のうちロシアによる侵攻を題材にしたものはどれ?

――出題・高木由美子(本誌記者)

YannaZazu-Pixabay

①チャイコフスキー「序曲1812年」 
②シベリウス「フィンランディア」 
③ショスタコービッチ 交響曲第7番「レニングラード」 
④ベートーベン「ウェリントンの勝利」

【実際に楽曲を聴いて考えよう】次の管弦楽曲のうちロシアによる侵攻を題材にしたものはどれ?

A. 解答はこちら


Q.48 次のうち、トランプが信じているトンデモ論は?

──出題・森田優介(本誌デジタル編集長)

Evan El-Amin-shutterstock

①宇宙人は存在する
②ケネディはCIAが暗殺した
③地球は平面である
④ビンラディンは死んでいない

A. 解答はこちら


Q.49 今年5月のカンヌ国際映画祭では、映画界への貢献をたたえる賞「名誉パルムドール」がスタジオジブリに贈られた。これまでに同賞を授与されていないのは誰?


――出題・大橋希(本誌編集長代理)

カンヌにある黄金の天使像 Studio Barcelona-shutterstock

①ジョディ・フォスター(俳優)
②トム・クルーズ(俳優)
③アニエス・バルダ(監督)
④マーティン・スコセッシ(監督)

A. 解答はこちら


Q.50 中国の著名人で日本に留学したことがないのは誰?

――出題・長岡義博(本誌編集長)

hyotographics-shutterstock

①魯迅
②蒋介石
③毛沢東
④周恩来

A. 解答はこちら

UEFAチャンピオンズリーグのインテル・ミラノ対アトレティコ・マドリードの試合を観戦するビアンカ・センソリ(左)と黒いフェイスマスクを纏った夫カニエ・ウェスト(2月20日、ミラノ) Alessandro Garofalo-Shutterstock

Q.46 露出度の高いファッションで知られ、たびたび「公然わいせつ」騒動を起こしてきたセレブのビアンカ・センソリが、これまでに披露「していない」服装はどれ?


――出題・編集F

①全裸に透明のレインコート
②裸の体にビニールテープを貼っただけ
③全身シースルー、股間だけスマホで隠す
④全身黒ずくめで胸だけ丸出し

A. ④全身黒ずくめで胸だけ丸出し

<解説>
大物ミュージシャンのカニエ・ウェストと2023年1月に結婚(正式な手続きはしていないとされる)して以降、一躍セレブの仲間入りを果たして注目を浴びるようになったビアンカ・センソリ。公の場でもプライベートでも露出度の高い服装をすることが多く、これまでに「全裸に透明のレインコート」「裸の体にビニールテープを貼っただけ」「全身シースルーで股間だけスマホで隠す」など、過激なファッションを披露してきた。

【写真】夫に強要されている? 「見せすぎ」と物議を醸すセンソリの「過激ファッション」コレクション

今年3月にはロサンゼルスで、珍しく黒のボディスーツと黒のレギンスという黒ずくめのおとなしい服装を見せたかと思いきや、実は後ろから見ると「尻だけ丸出し」という大胆なデザインで見る人を驚かせていた。

彼女のこうした服装は「公然わいせつではないか」と批判されることも多く、アメリカ国内だけでなく旅行先のイタリアなどでも騒動になってきた。ただ、こうした服装は彼女自身が望んだものではなく、「着せ替え人形」のようにウェストから指示されたものを着させられているだけではないかと疑う声もある。

YannaZazu-Pixabay

Q.47 次の管弦楽曲のうちロシアによる侵攻を題材にしたものはどれ?

――出題・高木由美子(本誌記者)

①チャイコフスキー「序曲1812年」 
②シベリウス「フィンランディア」 
③ショスタコービッチ 交響曲第7番「レニングラード」 
④ベートーベン「ウェリントンの勝利」

【実際に楽曲を聴いて考えよう】次の管弦楽曲のうちロシアによる侵攻を題材にしたものはどれ?


A. ②シベリウス「フィンランディア」

<解説>
「フィンランディア」はフィンランドの作曲家ジャン・シベリウスによって1899年に作曲された交響詩。ロシアの軍事侵攻を受けたフィンランドは1809年にロシア帝国の支配下に置かれた。帝政ロシアの圧政に苦しめられるフィンランドの人々の民族意識が高まるなかでこの曲は生まれ、愛国心を沸き起こす音楽として広く親しまれた。

反対に、チャイコフスキー作曲「序曲1812年」はナポレオン率いるフランス軍によって侵攻されるロシアを、ショスタコービッチ交響曲第7番はナチスドイツによってロシアのレニングラード(現サンクトペテルブルク)が侵攻される様子をテーマにしている(ベートーベン作曲「ウェリントンの勝利」は1813年のスペインにおけるイギリス軍とフランス軍の戦いが題材)。

人々の情熱をかき立てる音楽や文学、芸術は、時に愛国心の高揚や敵国への憎悪といった感情と強烈に結びついてきた。

現在のロシアによるウクライナ侵攻の影響で、世界各国ではロシアの偉大な作曲家チャイコフスキーの楽曲を排除する動きがみられる。特に「序曲1812年」では、ナポレオン率いるフランス軍を象徴するフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」の旋律が次第にかき消され、最後にはロシア帝政国歌のメロディーと祝砲、鐘の音によってロシア軍の勝利が壮大に奏でられることから、現在の情勢下では不適切とされ、演奏中止が相次いでいる。

Evan El-Amin-shutterstock

Q.48 次のうち、トランプが信じているトンデモ論は?

──出題・森田優介(本誌デジタル編集長)

①宇宙人は存在する
②ケネディはCIAが暗殺した
③地球は平面である
④ビンラディンは死んでいない

A. ④ビンラディンは死んでいない

<解説>
4つのどれも(さすがに、たぶん...)信じていないと思いたいところだが、相手はドナルド・トランプ。陰謀論とフェイクニュース界のキングだ。1つ1つ見ていこう。

■宇宙人は存在する?

まず、宇宙人やUFOの存在については「自分は信じているとは言わないが、奇妙な飛行物体を見たことがあると真剣に話す真面目な人たちには会ったことがある」と、最近のインタビューで答えている。

トランプが話題にするのが好きなエイリアンは、「宇宙人」よりも「外国人」、つまり中南米からアメリカを「侵略」しにやって来る不法移民のほうだ(英語ではどちらもalien)。

■ケネディはCIAが暗殺した?

ジョン・F・ケネディ大統領の暗殺は、事件から60年がたった今もくすぶり続ける陰謀論界の古典的名作。単独犯と断定されたが、旧ソ連、マフィア、あるいはCIAが関与したといった説が唱えられてきた。暗殺を調査したウォーレン委員会の報告書はすでに99%が公開されているにもかかわらず、だ。

トランプは2016年の大統領選出馬時、当選したら残るケネディ機密文書を全て公開すると約束していたが、結局、CIAとFBIに止められて実現しなかった。今回も同じこと――当選したら全て公開する――を約束している。トランプ自身が単独犯説を疑っているかは定かではないが、陰謀論好きなファンへのリップサービスかな。

■地球は平面である?

真面目に聞いていただきたいが、世の中には2024年の今も「地球は球体ではなく平面である」とする地球平面説を信じている人々がいる。米連邦政府は「ディープステート(闇の組織)」に支配されているとか、ヒラリー・クリントンが小児性愛と児童買春の組織に関わっているとか、トランプが流布した陰謀論や真偽不明の情報は数多いが、それらと比べても次元の高いトンデモ論だ。

2017~21年のトランプ前政権は「地球温暖化は嘘」とする側に立ち、環境問題に背を向け、パリ協定から離脱した。トランプ自身、「次第に涼しくなる」と言ってのけたこともある。そして当時の政権には、すでに定説となっていた地球温暖化を否定するために、温暖化を平面説になぞらえ、こんな発言をした政権幹部もいた。「かつて『地球は平面である』と圧倒的多数の科学者が言っていた。科学者は過ちを多く犯すものだ」

飛行機で飛び回っているトランプ自身は、きっと地球平面説を信じてはいないだろうけれど、科学も都合よく解釈するのがトランプ流。

■ビンラディンは死んでいない?

ブッシュ政権時代の2001年9月に同時多発テロが起きると、アメリカはその1カ月後、ウサマ・ビンラディン率いるテロ組織アルカイダの犯行とにらんで、潜伏場所とされたアフガニスタンに攻め入った。そして10年の歳月を費やした後、オバマ政権時代の2011年5月、米海軍特殊部隊がパキスタンでビンラディンを殺害した。

――はずだが、実はそのとき殺害されたのはビンラディンの影武者で、オバマ政権はその事実を隠蔽したという陰謀論がある。つまり、ビンラディンは生きていた(だそうです)。

極右の陰謀論集団で、トランプ支持者が多く含まれる「Qアノン」を覚えているだろうか。数年前まではその活動が頻繁に報じられ、日本でも共鳴してデモをする人々が出現した。そのQアノン系のツイッターアカウントが2020年10月、根拠なき「オバマ政権が殺したのはビンラディンの影武者」説の記事をツイートすると、トランプはそれをリツイートして拡散させた。

リツイートしただけで「信じている」ことになる? リツイートは本人の発言と同じ。名誉毀損も成立し得る。皆さんも気を付けましょう。

カンヌにある黄金の天使像 Studio Barcelona-shutterstock

Q.49 今年5月のカンヌ国際映画祭では、映画界への貢献をたたえる賞「名誉パルムドール」がスタジオジブリに贈られた。これまでに同賞を授与されていないのは誰?


――出題・大橋希(本誌編集長代理)

①ジョディ・フォスター(俳優)
②トム・クルーズ(俳優)
③アニエス・バルダ(監督)
④マーティン・スコセッシ(監督)

A. ④マーティン・スコセッシ

<解説>
世界三大映画祭の1つであるカンヌ国際映画祭の「名誉パルムドール」の創設は1997年で、多大な功績を残しながらパルムドール(最高賞)に縁のなかったイングマール・ベルイマン監督に授与したのが最初だ。これまでの受賞者には①、②、③のほか、クリント・イーストウッドやカトリーヌ・ドヌーブなどがいる。④マーティン・スコセッシは、76年に監督作『タクシードライバー』がパルムドールを受賞している。

監督や俳優を対象としてきた名誉パルムドールが、団体に授与されたのはスタジオジブリが初めて。欧米以外、アニメーション分野での受賞も初のことで、「ハリウッドの巨匠たちと並び、宮﨑駿と高畑勲という2人の優れたストーリーテラーと多数のカルト的キャラクターに体現されたこの日本のスタジオは、過去40 年にわたりアニメーション映画に新しい風を吹き込んできた」と映画祭は讃えた。

hyotographics-shutterstock

Q.50 中国の著名人で日本に留学したことがないのは誰?

――出題・長岡義博(本誌編集長)

①魯迅
②蒋介石
③毛沢東
④周恩来

A. ③毛沢東

<解説>
「処理水」への抗議で電凸/靖国神社に落書き・放尿/江蘇省蘇州市で日本人学校のスクールバスを待っていた日本人親子に切り付け(犠牲になったのは中国人案内係)......と、中国人の対日感情は悪化する一方。暗澹たる気持ちになるが、120年前の中国では今と真逆の「日本に学べ」ブームが起きていた。

「阿Q正伝」「狂人日記」を書いた小説家の魯迅は、日本に留学した中国人学生の草分け的存在。1902年に清朝の官費留学生として日本留学し、1904年から仙台医学専門学校(現在の東北大医学部)で医学を学んだ。

その後、1905年に清朝が科挙制度を廃止。新たな出世の手段として海外留学が中国人学生の間で本格的ブームになり、比較的距離が近く、ひと足先に近代化へ舵を切った日本が人気に。留学生数は翌年8000人に急増した。

学生たちは日本語学校で学んだ後、大学入学を目指した。後に共産党政権で毛沢東の補佐役として首相を足掛け27年務めた周恩来もその1人。天津の南開中学を経て、1917年に来日。明治大学などで学んだ。

学生だけでなく、軍人になるため日本に来た中国人もいた。後に台湾総統となる蒋介石だ。蒋は1906年に18歳で来日。いったん帰国後、再び来日して日本陸軍経営の学校で学び、新潟の陸軍第13師団に配属された。

この中で、日本に留学した経験がないのは共産中国を建国した毛沢東。モスクワにスターリンを訪れたことがあるだけで、日本を含む国外に留学した経験はなかった。

近年も、共産党政府の厳しい支配を嫌って少なくない中国の知識人が日本に脱出し、「清朝末期に酷似している」と言われる。歴史は繰り返す。だが日本に留学した魯迅、周恩来、蒋介石の3人が、必ずしも親日派にはならなかったことは覚えておきたい。

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