英総選挙の投票所になったロンドン中心部の教会=2024年7月4日、篠田航一撮影

 英下院(定数650)総選挙が投開票された4日、ロンドンでは多くの有権者が投票所に向かい、2010年から14年間政権を担う与党・保守党への「審判」の1票を投じた。

 ロンドン中心部の繁華街では教会が投票所となった。建設業のラフマンさん(34)は「住宅問題に力を入れる(環境政党の)緑の党に投票した。ロンドンでは居住実態がない富裕なロシア人らの家が増える一方、庶民は住宅難に苦しんでいる」と話した。保守党は不法移民をルワンダに強制移送する案を掲げるが、自身もバングラデシュ系のラフマンさんは「英国を支えているのは移民だ」と述べ、移民を敵視する党には反対と述べた。

投票所に向かう英労働党のスターマー党首(左)と妻ビクトリアさん=ロンドンで2024年7月4日、英PA通信・AP

 一方、「経済を考えているのは保守党だ」と話すのは、金融コンサルタントのフェルザさん(68)だ。「近年は確かにいい仕事はしていない」と認めつつ、「他の党はもっと信用できない」と話した。

 最大野党・労働党に「期待している」と1票を投じた無職の男性(75)は、その理由として保守党のジョンソン元首相の存在を挙げた。「彼はロンドン市長時代、自分の友人だけを大事にして、ロンドンを貧しくした。首相時代も同様だ」と話し、政治を私物化したと批判した。

 有権者に「重視した争点」を聞くと、医療や住宅、移民対策が多かった。圧勝が予想される労働党への期待の声もあったが、それ以上に保守党への「幻滅」を語る人が多かった。「保守党は昔は良識ある党だったが、ジョンソン政権あたりから崩れていった」(30代の男性)といった意見が聞かれた。【ロンドン篠田航一】

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