人身売買に関する報告書の公表に合わせて演説するブリンケン米国務長官=ワシントンで2024年6月24日、AP

 米国務省は24日、世界各国の人身売買に関する2024年版の報告書を公表した。日本については、これまで問題視してきた「外国人技能実習」に代わる新制度「育成就労」の創設に向けた取り組みなどを評価する一方、人身売買をなくすための「最低限の基準を完全には満たしていない」として、4段階評価で上から2番目のランクに据え置いた。

 報告書は育成就労などに触れ、「日本政府は過去と比べ、全体的な取り組みを増やしている」と一定程度評価した。ただ労働者や性目的の子どもの人身売買について、犯罪の捜査件数や起訴件数が「依然として低水準のままだ」と指摘した。

 報告書は、米国や英国、カナダ、ドイツ、韓国、台湾など33カ国・地域を最も高いランクとして評価。日本と同じ上から2番目にイタリア、インド、ブラジルなどが入った。最低ランクはロシア、中国、イラン、北朝鮮、アフガニスタンなどだった。

 ロシアについては、ウクライナとの戦闘に外国籍者を強制的に動員しているとの報告があると指摘。さらに北朝鮮人の労働者が、ロシアで強制労働に従事しているという信頼できる情報があったにもかかわらず、被害者の特定などをしなかったと非難した。

 中国に関しては、新疆ウイグル自治区で、ウイグル人などの少数民族が「職業訓練」や「脱過激化」の名目で投獄されたり、強制労働させられたりしていると批判した。【スワースモア(米東部)松井聡】

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