通りをパトロールする警官=ケニアの首都ナイロビで2024年3月12日、AP

 ギャングの暴力に苦しむカリブ海の島国ハイチを巡り、米国務省は24日、治安回復に向けてケニアが主導する多国籍部隊の第1陣が週内に現地に派遣されると明らかにした。AP通信によると、まずケニアの警官400人が参加する。

 国連安全保障理事会は昨年10月、ハイチへ多国籍部隊を派遣する権限を加盟国に与える決議を採択した。だが、ケニアの裁判所が両国間で合意に達していないことを理由に派遣を遅らせる決定を下すなどしたため、手続きが遅れていた。

 ケニアは警官1000人を派遣する予定で、残り600人も今後送られる。多国籍部隊にはカリブ海の島国ジャマイカやバハマなども参加し、派遣人数は2500人規模になる。

ギャングによる暴力で家を追われ、学校に避難した人々=ハイチの首都ポルトープランスで2024年5月5日、ロイター

 ケニアのルト大統領は24日、X(ツイッター)に「ハイチに恒久的な安定をもたらすため、国際社会と協力する」と投稿した。

 ハイチでは2021年7月、モイーズ大統領が武装集団に暗殺された。以降、大統領が空席となり、その間にギャングが勢力を拡大。首都ポルトープランスの約8割はギャングに支配されていると言われる。

 暴力は今年2月末以降に激化し、4月にはアンリ首相が辞任した。国連によると、ギャングの暴力を受け、1~3月の死傷者は約2500人に上り、前年同期比で5割以上増加した。【ニューヨーク中村聡也】

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