在英エクアドル大使館の外で、取材に対応する「ウィキリークス」創設者のジュリアン・アサンジ被告=2017年5月19日、AP

 内部告発サイト「ウィキリークス」創設者で、米国でスパイ防止法違反(機密暴露の共謀)などの罪に問われたジュリアン・アサンジ被告(52)が24日、英ロンドンの拘置施設から保釈された。ウィキリークスがX(ツイッター)を通じ、飛行機に乗り込む動画と共に明らかにした。

 米司法省が25日に米自治領サイパンの連邦地裁に提出した書面によると、アサンジ被告は検察側との司法取引に応じ、同罪で有罪を認める代わりに米国での収監を免れる見通し。地裁が司法取引の内容を認めれば、26日に出廷して判決を受けた後、出身地のオーストラリアに帰国する予定になっている。ロイター通信によると、アサンジ被告は拘置施設を出て飛行機に乗り込んだ。サイパンに向かったとみられる。

保釈され飛行機に乗り込むアサンジ被告。ウィキリークスが25日にX(ツイッター)を通じて動画を公表した=ロイター

 アサンジ被告は2012~19年、ロンドンの在英エクアドル大使館にかくまわれていた。米当局は18年3月に起訴し、英国に引き渡しを要求。英当局は19年4月に逮捕した。しかし、アサンジ被告は、米国への移送に不服を申し立て、移送を巡る裁判手続きが長期化していた。一方、出身国のオーストラリアは、アサンジ被告の帰国を認めるように米政府に働きかけていた。

 「機密情報を漏らすことで米国の安全保障を損ない、情報提供者を危険にさらした」と非難する声がある一方で、「政府の不正を暴露した」との評価もある。ジャーナリストと名乗っていたことから、刑事訴追をすれば「報道の自由」を侵害する恐れも指摘されていた。【ワシントン秋山信一】

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