前回、東京で開かれたG7外相会合=2023年11月8日、東京都港区(代表撮影)

【パリ=板東和正】先進7カ国(G7)は17日、イタリア南部のカプリ島で外相会合を開く。上川陽子外相やブリンケン米国務長官らが出席。19日まで緊迫する中東情勢やロシアによるウクライナ侵略への対応を討議する。イランとイスラエルの緊張緩和に向けた課題や凍結された露資産をウクライナ支援に利用する案について意見を交換する。

欧州メディアによると、G7外相会合ではイスラエル軍の攻撃が続くパレスチナ自治区ガザでの停戦や、イスラエルとイランの緊張緩和を求める方針で一致する見通し。イスラム原理主義組織ハマスの支援者などイスラエルに敵対する個人への新たな制裁の実施についても協議する。

外相会合はウクライナを全面的に支援することを改めて表明する方針。支援を拡大するためにウクライナ侵略を受けて欧州で凍結された露中央銀行の資産の利用について話し合う。

欧州連合(EU)は3月の首脳会議で、露資産から得た利息収入をウクライナの軍事支援に活用する案の実現に向けた「作業を進める」方針を明記した文書を採択した。しかし、利息収入だけではウクライナ支援に必要な額に遠く及ばないため、イエレン米財務長官は「資産の押収から担保として利用することまで一連の可能性を検討している」としており、G7外相会合で多様な利用方法を模索するとみられる。

ウクライナ侵攻を終結に導くため、プーチン露大統領への働きかけを中国に求める方針についても議論する。今年のG7議長国イタリアのタヤーニ外相は15日、「西側諸国だけでは戦争終結に向けロシアに十分な圧力をかけられない」とし、中国が関与する必要性を強調した。

外相会合には北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長とウクライナのクレバ外相も出席する。

EUも17日から臨時首脳会議を2日間にかけて開催し、ウクライナや中東情勢などについて協議する。

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