米中西部オハイオ州で、モーセの十戒が記された看板を塗り直す作業員ら=2023年11月7日、AP

 米南部ルイジアナ州で19日、公立学校の教室に旧約聖書の「モーセの十戒」を掲示するよう義務づける州法が成立した。米国でこうした内容の州法が成立したのは初めて。旧約聖書はキリスト教やユダヤ教などの聖典で、宗教保守派が州法制定を後押ししていた。一方、特定の宗教の戒律を公教育の場で掲示することは「信教の自由」に反する可能性があり、リベラル派は州法の違憲性を訴えて提訴する構えだ。

 「モーセの十戒」は、唯一神への信仰や父母を敬うこと、殺人や窃盗の禁止などを含む10の戒律だ。米メディアによると、州法は公立の小、中、高校で、来年1月1日までに「モーセの十戒」を記したポスターや額入りの文書を全教室に掲示するよう求めている。サイズも「幅11インチ(約28センチ)、長さ14インチ(約35・5センチ)以上」と定められている。

米南部ルイジアナ州で、教育関連の州法案に署名するランドリー知事(中央)=2024年6月19日、AP

 保守派の支援を受ける州議会共和党が法案策定を主導。ランドリー州知事(共和党)は19日の署名式典で「法の支配を尊重したいなら、最初の立法者から始めなければならない。それはモーセだ」と述べた。テキサス▽オクラホマ▽ミシシッピ▽サウスカロライナ――の南部4州でも、同様の立法の動きがあるという。

 リベラル派は「信教の自由」を保障した憲法修正1条に違反すると主張しており、裁判で州法の無効化を目指す方針だ。【ワシントン秋山信一】

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