米国旗=米首都ワシントンで2023年11月14日午後、西田進一郎撮影

 バイデン米政権は18日、米国に10年以上居住し、市民権を持つ配偶者がいる不法滞在者に関して、国外退去処分を3年間猶予すると発表した。猶予期間中に永住権の申請手続きを支援し、就労も認める。対象者の21歳未満の子供も滞在が認められる。米政府によると、計約55万人が対象になる見通しだという。

 今回の措置は、国外退去処分による家族の離散を防ぐのが狙いで、国土安全保障省の審査で認められた場合は永住権を申請できる。米国で高等教育を受けた後、教育内容に関連する業種で雇用機会がある場合、ビザ(査証)申請手続きを迅速化する措置も導入する。

 バイデン政権は今月4日、南部のメキシコとの国境で、不法越境者の亡命申請を事実上禁止する措置をとった。11月の大統領選に向けて、不法越境者数の高止まりを批判される中、有権者に厳しい対応をアピールする狙いがあった。しかし、民主党左派からは人権軽視だと批判されていたため、今回の国外退去猶予の措置でバランスをとろうとしたとみられる。【ワシントン秋山信一】

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