世界平和サミットのため、スイス入りしたウクライナのゼレンスキー大統領(右)=チューリヒの空港で6月14日、ロイター

 ロシアによるウクライナ侵攻の和平案を協議する初の首脳級会合「世界平和サミット」が15日、スイス中部ビュルゲンシュトックで開かれる。2日間の日程で、スイス政府の14日の発表によると、100の国や組織が参加。ウクライナが戦争終結の条件とする「平和の公式」の実現へ向けて、国際社会の後押しを得られるかが焦点となる。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は14日、「(参加国は)持続的な平和をウクライナにもたらすという共通の目標で結ばれている」とX(ツイッター)で謝意を示し、活発な議論を期待した。

 サミットはゼレンスキー氏の提唱で開催。幅広く和平案への賛同を得るため、約160カ国を招待していた。米国のハリス副大統領やフランスのマクロン大統領、日本の岸田文雄首相らが出席の一方、ロシアは招待されず、中国は欠席した。ロシアと欧米諸国の双方と良好な関係を築くインドは参加となったが、モディ首相は出席を見送った。

 サミットでは10項目ある「平和の公式」のうち、食料安全保障、核の安全、捕虜やロシアに連れ去られた市民の返還――の3点を重点的に議論する。「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国など中立的な立場の国にも配慮し、広く支持を得られやすい内容に絞った。

 一方、ロシアのプーチン大統領は、平和サミットがウクライナの和平案の「押しつけ」に過ぎないと反発。14日の演説では、戦争終結の条件として、2022年9月にロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ東・南部4州全域からのウクライナ軍の撤退や、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)への加盟を断念するよう要求した。

 これらは、露軍のウクライナ領からの全面撤退などを求めるゼレンスキー政権の「平和の公式」とは真っ向から対立する内容で、和平交渉は依然として困難な状況だ。【ベルリン五十嵐朋子】

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