M2ブラッドレー歩兵戦闘車(2016年9月、リトアニア・パブラデ) Karolis Kavolelis-Shutterstock
<両軍の車両が砲火を交えつつ接近する緊迫の戦闘シーンが記録された>
ウクライナ東部の戦闘の中心地で、ウクライナ軍のブラッドレー歩兵戦闘車が、ロシア兵を乗せた装甲兵員輸送車(APC)を攻撃する場面とみられる新たな動画が公開された。
【動画】接近戦で「蜂の巣状態」にされる装甲車から、ロシア兵が「転げ落ちる」衝撃シーン
ウクライナの第47独立機械化旅団の声明によれば、ブラッドレーの乗員たちはウクライナ東部の都市ポクロウシクに近い前線沿いで、装甲兵員輸送車に乗って移動していたロシア兵たちと「至近距離で」衝突したという(ロシア側の装甲兵員輸送車は、OSINTアカウントによってBTR-82Aと特定された)。
米国防総省によれば、アメリカはこれまでに300両以上のブラッドレーをウクライナ軍に供与してきたという。米国が供与した「エイブラムス」戦車の唯一の配備先である第47旅団は、ウクライナのかつての要塞で、現在はロシアの支配下にあるアウディーイウカの西で戦闘を続けている。この地域でロシア軍は徐々に前進し、力を集中させている(ロシア軍は先月、ウクライナ北東部のハルキウ州においても新たな攻撃を仕掛けている)。
第47旅団は、「ロシア軍の装甲兵員輸送車を攻撃するブラッドレー」を映したとする動画を共有した。この映像では、両軍の車両が砲火を交えつつ接近する様子が見て取れる。少なくとも1人の兵士が装甲兵員輸送車から転げ落ちると、車両はそのまま煙をたなびかせながら道を外れていくのが確認できる。
「動画に映っているこの装甲兵員輸送車は集落に侵入していた」と同旅団は述べているが、正確な場所については説明していない。本誌はこの映像を独自に確認できておらず、電子メールでロシア国防省にコメントを求めている。
衝突の「中心地」
2年あまりにわたるウクライナ戦争において、ひときわ激しい戦闘の大半はウクライナ東部、とりわけドネツク州全域で起きている。同州は、ロシアが併合を主張しているが完全には掌握できていない地域だ。
ロシア軍は5月上旬にハルキウ州への越境攻撃を開始したが、この時もウクライナは東部での猛烈な攻撃について伝えていた。
第47旅団は数日前、ポクロウシク市の東での衝突が戦闘の「中心地」だと述べていた。ポクロウシクはウクライナにとって、この地域における防御の要となる都市だ。
ウクライナ軍は、現地時間10日午前10時30分に出した声明の中で、過去24時間でロシア軍は269人の死傷者を出したと発表。前線のこの地域で、装甲戦闘車両2両と砲撃システム2基を破壊したと付け加えた。同軍はさらに、ロシアの戦車、装甲車両、さらに2基の砲撃システムも損傷を受けたとしている。
しかし第47旅団は7日、ロシアには「膨大な人員の蓄え」があり、「大きな損失を迅速に補充し、また戦闘に投入することができる」と述べた。そして同旅団の兵士は、ロシア軍の「少なくとも3つの」旅団を食い止めていると続けた。「戦闘は一瞬たりともやまない」
ロシア国防省は10日、ポクロウシク南東の村カルリウカを含むドネツク州の複数の集落で、ロシア軍が「より有利な陣地」を奪ったと述べた。ロシア軍は、前線のこの地域において、第47旅団からの攻撃も含めたウクライナ軍の反撃を過去1日で5回にわたって「撃退」したとロシア側は述べている。
ロシアが作戦に関する最新情報の中で述べているところによれば、過去1日のポクロウシク東方の戦闘において、ウクライナ軍は兵士345人、装甲戦闘車両4両(ブラッドレー2両を含む)、複数の砲撃システム、ピックアップトラック2台を失ったという。
(翻訳:ガリレオ)
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