6月2日、メキシコで初の女性大統領が誕生しました。男性優位主義社会のメキシコで“ガラスの天井”を打ち破ることが出来たワケとは?世界で増える女性リーダーたちに“ある共通点”が?日本にその“共通点”はあるのか?手作り解説でお伝えします。

“ガラスの天井”破ったメキシコ大統領選

こちらにあるのは“ガラスの天井”です。女性の活躍を妨げる、見えない障壁とされてきましたが、今回のメキシコ大統領選で、シェインバウム氏は、この“ガラスの天井”を打ち破りました

シェインバウム氏の経歴

両親とも科学者の家庭に生まれたシェインバウム氏。名門、メキシコ国立自治大学で、エネルギー工学の博士号を取得した初の女性で、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」に専門家として参加した際に、ノーベル平和賞を受賞したことも…。では、どうやって女性初の大統領にまで上り詰めたのでしょうか。

初の女性大統領誕生の背景

そもそもメキシコは、根強い男性優位主義社会でしたが、転換点となったのが2002年の「クオータ制」の導入です。この「クオータ」というのは「割り当て」という意味で、選挙の際、候補者に一定の女性枠を設けることによってジェンダー格差を解消する仕組みです。メキシコでは女性議員の割合が「30%以上」になることを義務づけました。その後も、政党の候補者を「男女同数」にすることを義務づけ、今では「議会の半数以上」が女性議員となっているんです。

世界のクオータ制の状況は?

メキシコの「クオータ制」は義務化されていて、非常に厳格なものですが、そこまで極端でなくても、広い意味での「クオータ制」は、今や130以上の国と地域で導入されていて、この「クオータ制」の後押しもあり、多くの女性リーダーが誕生してきました。ドイツのメルケル首相や、ニュージーランドのアーダーン首相スウェーデンのアンデション首相台湾の蔡英文総統、などです。そしてアイスランドでは、6月1日に大統領選があり、実業家のトーマスドッティル氏が勝利しました。実は、アイスランドは1980年に世界初の女性大統領が誕生した国で、今回で2人目の女性大統領となります。

女性リーダーたちの評価

こうした中、女性リーダーが高く評価された、ある対応があります。イギリスのリバプール大学などの研究チームは、コロナ・パンデミックの初期に、ニュージーランドの当時のアーダーン首相について、経済への影響を恐れず、早い段階でロックダウンを実施、テレビやSNSなどで毎日会見を行うなど「国民に寄り添う姿を見せた」などと評価。研究チームは「人命を守ることに関して、女性リーダーの方が共感的で決断力があり、優れたコロナ対策につながっている」と分析しています。

日本の現状は…

そして日本の現状です。政党によっては「“自発的な”数値目標」を掲げているものの、現時点、衆議院の女性議員の割合は10.3%
国際機関(IPU)によると約190カ国中163位と遅れを取っています。「クオータ制」に詳しい上智大学の三浦教授は「日本は義務ではなく、努力目標にとどまっている。法律で義務化すべきではないか」と指摘しています。

(「サンデーモーニング」2024年6月9日放送より)

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