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<オランダ・ユトレヒト大学の研究チームが、今世紀末までに予想される水危機の程度を示す研究結果を発表>

地球が世界的な危機に瀕している。世界の水は量も質も悪化が予想されるという研究結果がこのほど発表された。

オランダ・ユトレヒト大学の研究チームは、世界の水モデルを使って今世紀末までにどの程度の危機が予想されるかを推測し、研究結果を科学誌「Nature Climate Change」に発表した。

気候変動は世界中で深刻な問題を引き起こしているが、水枯渇の問題は特に大きい。水の蒸発が加速し、気象パターンが予測しにくくなる中で、世界で使用される水の量は補充される量を上回っているようだ。水枯渇には汚染や水質などの要因も絡む。実際のところ、水の量と質の両方について検証した研究は今回が初めてだった。

「水不足は将来的に悪化が予想され、影響を受ける人の数は増える見通しだ」。筆頭筆者で水専門家のエドワード・ジョーンズは本誌にそう語った。こうした「世界的な水危機」に注目する必要があると、同氏は声明で述べている。

「社会的変動であれ、気候変動であれ、大規模な世界変動が人類に与える影響を推し量る上で、こうした研究は重要だ」とジョーンズは語り、「人類がいずれ直面する水問題について広く知ってもらい、行動を促したい」と言い添えた。

「本研究で我々は、気候変動、水需要の増大、水質汚染が組み合わさって水不足を引き起こしていることを示した。従ってこの問題に対応するためには、気候変動対策と水使用効率の増大、人為的汚染の抑制を組み合わせる必要がある」

研究チームは水質と量のモデルを使用してシミュレーションを行い、現在と今後の課題を探った。

その結果、世界の人口の55%は、1年間に1カ月の頻度できれいな水が枯渇する地域に住んでいることが分かった。状況の悪化に伴い、今世紀末までにこの割合は66%に増える可能性があると研究チームは危惧する。

水不足は世界的な問題だが、深刻さは地域によって差がある。研究チームによると、例えば米国は1年間に数カ月間、水不足に見舞われる。西欧も同じ状況だ。

一方、途上国の水不足はそれ以上に深刻な状況にあり、1年を通して続く期間も長い。

「今後は特にグローバルサウス、中でもアフリカのサハラ砂漠以南の人口に大きな影響が出る。この結論は、増加の程度は異なるものの、我々が検討した気候変動と社会的変動を組み合わせた3つのシナリオを通じて一環している」(ジョーンズ)

「考えられる最悪のケースでは、人口の3分の2が、年間1カ月以上にわたってきれいな水の不足に見舞われる。それより楽観的な推定に基づくと、影響を受ける人口は程度は低いながら間違いなく増加するものの、途上国で大幅に増加する状況が依然として顕著だ」

研究チームはまた、水質問題が世界中で水不足の大きな原因になっているとも指摘した。過去の水不足に関する研究では、この点について必ずしも言及していなかった。

ジョーンズは言う。「今回の研究に関して言えば、水不足の研究に水質問題を含めることを標準とするのが我々の重要目標だった。水の利用可能性と比べると、水質は今なお『目に見えない』部分だが、人が安全に使用できる水の確保は、物理的に使用できる水を適度な分量確保することと同じくらい重要だ」

この分野ではもっとやるべきことがあるとジョーンズは言い添えた。研究チームは今後、アプローチを広げて水質関連の構成素を増やすことを目指す。気候変動の悪化に伴い、さらに過酷な状況に基づいてこの問題を検討する必要にも迫られる。

「気候変動によって異常気象(干ばつ、猛暑、洪水)の頻度や規模が増すことは分かっている。水質がそうした事象の影響を受けやすいことも分かっている」とジョーンズは言う。「従って、過酷な条件下で水質を測るためにさらなる努力が必要であり、そうした事象下で分野ごとの水の使用や使用可能性がどう変化するかも詳しく調べなければならない」

(翻訳:鈴木聖子)

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