会談に臨む韓国の尹錫悦大統領(右)と中国の李強首相=ソウルの大統領府で2024年5月26日、AP

 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と中国の李強首相が26日、ソウルで会談した。韓国政府によると、外交・安保分野の次官・局長級対話を新設することで合意した。

 両氏の会談は2023年9月以来。外交・安保対話は、中韓双方から外務次官と国防省の局長級高官が出席し、6月中旬に第1回の会議を開催する。また、中断していた外務次官戦略対話も再開する。

 経済分野では、サプライチェーン(供給網)の協力強化に向けて対話の枠組みの発足を目指すことで一致。自由貿易協定(FTA)の締結に向けて交渉を再開することも合意した。中韓の投資協力委員会も再開する。

 尹政権は、核・ミサイル開発を進める北朝鮮に対抗するため日米との関係強化を重視。最大の貿易相手国である中国との関係が悪化し、改善を模索していた。不動産不況などで景気が停滞する中国にとっても投資や貿易の拡大は優先課題だ。26日の会談では経済面を中心に双方の利益が一致した形だ。

 中国国営新華社通信によると、李氏は会談で「中韓の産業や供給網は深く絡みあっており、経済協力の潜在能力は大きい」と強調。同時に米国の対中半導体輸出規制などを念頭に「経済の安全保障問題化」を批判し、韓国が米国に追従しないようくぎをさした。中国としては供給網に関する協力強化によって、韓国経済の「中国離れ」を防ぐ狙いもある。

 一方、北朝鮮問題について韓国政府関係者は26日、「核・ミサイルの脅威について尹大統領が具体的に言及した」と述べた。北朝鮮への影響力を維持する中国が朝鮮半島情勢の安定に向けて役割を果たすよう、要請した。【ソウル福岡静哉、北京・河津啓介】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。