元通訳の水原一平容疑者が、大谷選手に対して“口裏合わせ”を依頼していたと現地メディアが報じました。なぜ歯止めがかからなくなったのか、水原容疑者と胴元のやり取りも明らかになりました。

■水原容疑者の保釈条件とは?現時点での保釈金の支払いは“ゼロ円”

井上貴博キャスター:
ギャンブル依存症は病気ですから、しっかりと治療を行う必要があります。しかし、今回はその側面だけでは片づけられない悪質性や計画性も感じられます。

水原一平容疑者は、現地時間の12日に当局に出頭し、身柄を拘束された後に連邦裁判所へ出廷しました。その後、メディアの取材に応じるのではないかといわれていましたが、メディアの前に姿を現すことはありませんでした。

水原容疑者には、2021年11月から2024年1月にかけ、約24億5000万円を不正に送金した銀行詐欺の疑いがあります。

保釈条件を承諾し、即日保釈されたわけです。日本は保釈される場合に保釈保証金を納めてから保釈という流れですが、アメリカでは少し違っています。

<水原容疑者の保釈の条件>
●保釈金約380万円の支払い
●大谷選手への接触の禁止
●賭博施設への立ち入り禁止
●カリフォルニア州中心部から移動禁止
●パスポートの返納
●ギャンブル依存症の治療

ESPNによると、保釈条件に違反すると約380万円を支払うという署名保証金制度というもので、現時点での支払いはゼロ円です。

カリフォルニア州弁護士の鈴木淳司さんは、「条件を色々科す心理的な強制。水原容疑者側にとっては厳しい設定と感じているはず」だとしています。

ホラン千秋キャスター:
さまざまなことが明らかになった今、どのように感じていますか。

プロ経営者 ハロルド・ジョージ・メイさん:
この報道があってから、まだ気持ちの整理ができていません。

私も日本に滞在して長いですが、基本的には相手を信じるというのが日本の社会のいいところだと思います。ビジネスの世界で契約書を見ても、海外と比較すると簡単な契約になっていると思います。相手と信頼関係がある前提で仕事をするわけです。

大谷選手と水原容疑者の関係は、仕事だけではなく、友情など他の関係性もあり、信頼があったと思いますから、この裏切りは非常に痛いものあるだろうと思います。

ギャンブル依存症は病気なので、かわいそうだという側面もありますが、巨額なお金を盗んだわけですから、ちゃんと罰せられないといけないと思います。この複雑な思いを皆さんもお持ちですよね。

ホランキャスター:
水原容疑者と大谷選手の絆のようなものをずっと見てきたので、「嘘であってほしい」、「同情する余地があってほしい」と願いたい気持ちはあります。

井上キャスター:
「依存症は病気」の一方、自己責任論も根強くあるように思います。アメリカの空気感はどのようなものですか。

プロ経営者 ハロルド・ジョージ・メイさん:
額が大きく、大谷選手になりすますなど、お金を盗んだ手口が非常に巧妙です。そういう意味では病気の範囲を超えた、悪質な盗みであると言われています。

■大谷選手に「借金を肩代わりしたことに」と“口裏合わせ”依頼か

井上キャスター
胴元とのやり取りをみると、バンプ(上限額)を引き上げてほしいと繰り返していることがわかります。依存症に陥るとこうなってしまうのかと感じます。

違法賭博に賭けた総額は約280億円と、想像を超えた額です。勝った総額が約220億円で損失が約62億円ということです。

アメリカのニューヨーク・タイムズによると、違法賭博による借金について、水原容疑者は大谷選手に「借金を肩代わりしたことにしてほしい」とお願いしていたようです。

水原容疑者は開幕戦当日(3月20日)の午前中に地元メディア「ESPN」の電話インタビューに応じ、「大谷選手に借金を打ち明け、口座から胴元へ送金してもらった」とうその内容を答えていました。

開幕戦でドジャースが勝利した後のミーティングで、水原容疑者は違法賭博への関与を告白しました。その後、ホテルに戻って、大谷選手と深夜に“2人きりの場”を設けたと報じられています。

その際、「借金を肩代わりしたことにして」と、水原容疑者の説明に沿って“口裏合わせ”するように依頼しましたが、大谷選手は拒否しました。代理人や別の通訳、水原容疑者の妻も同席し協議を行ったということです。

ギャンブル依存症問題を考える会の田中紀子代表によると、「追い詰められるとうそをついてしまうのは、ギャンブル依存の人に多い傾向。口裏合わせなど、自分に都合の良い形で解決しようとするのが特徴」だということです。水原氏自身も「依存症の治療をしっかりと受けていく」と発表しています。

ホランキャスター:
大谷選手を違う形でさらに巻き込んでしまっていたら、どうなっていたのでしょうか。

プロ経営者 ハロルド・ジョージ・メイさん:
大谷選手との2人で話した段階で額などを知らなかった場合、友情や仕事の関係もあって「いいよ」と言ってしまいそうです。口裏合わせに応じていたら、話が変わっていたと思うので、大谷選手が一線を引いたのは偉いですよね。

ホランキャスター:
どのようにギャンブル依存症を克服していくのか、長く大変な戦いになりそうです。

プロ経営者 ハロルド・ジョージ・メイさん:
アルコールなど、いろいろな依存症がありますが、ギャンブル依存症もそのうちの一つなので時間がかかり、大変だと思います。

井上キャスター:
野球界として責任をどう取るのでしょうか。日本ハムファイターズも水原容疑者を雇っていて、そこを信用してアメリカの球団が雇ったという側面もあると思います。日本球界はどのような再発防止の対策をしていくのでしょうか。

プロ経営者 ハロルド・ジョージ・メイさん:
アメリカでも、どういうバックグラウンドチェックをしていたのかという話題は出ていますよね。「大谷選手が良いと言っているから」という流れだったのか、今後、改善が求められると思います。

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