イスラエルへの攻撃をめぐり、国連安全保障理事会で発言するイランのイラバニ国連大使=ニューヨークで2024年4月14日、ロイター

 イランによるイスラエルへの攻撃を受け、国連安全保障理事会は14日(日本時間15日午前)、緊急の公開会合を開いた。地域紛争への拡大を食い止めるため、両国に最大限の自制と緊張緩和を求める声が相次いだ。

 会合の冒頭でグテレス事務総長は「破壊的な全面戦争の現実的な危険に直面している」と警告。大規模な軍事衝突に至った場合に矢面に立つのは民間人だと警告した上で、「この地域も世界も、これ以上の戦争は許されない」と述べた。

 常任理事国の米国と英国はイスラエルの防衛を全面的に支援しながらも、戦火の拡大を回避する必要性を強調した。米国のウッド国連次席大使は、イランの攻撃を安保理として非難するよう呼びかけ「イランやその代理勢力が米国やイスラエルに追加の行動を起こした場合、イランはその責任を問われる」と警告した。一方、非常任理事国のアルジェリアはイランへの直接的な非難を避け、パレスチナ自治区ガザ地区での攻撃を続けるイスラエル批判を展開。安保理として声明などを出すには至らなかった。

 当事国は批判の応酬を繰り広げた。緊急会合の開催を呼びかけたイスラエルのエルダン国連大使は「この攻撃はあらゆるレッドラインを越えており、イスラエルは報復する権利を有している」と主張。これに対し、イランのイラバニ国連大使は「イランの作戦は自衛権の行使だった。行動は必要かつ適切なものだった」と攻撃を正当化しつつも、事態の悪化は望まないと強調した。

 イランは、今月1日にシリアで起きたイラン大使館空爆をイスラエルが実行したと非難し、報復する意向を示していた。【ニューヨーク八田浩輔】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。