歓迎式典で、中国の習近平国家主席(左)と握手を交わすロシアのプーチン大統領=中国・北京で2024年5月16日、ロイター

 中国の習近平国家主席は16日、ロシアのプーチン大統領と北京の人民大会堂で会談し、関係の深化に関する共同声明に署名した。ロシアのウクライナ侵攻や台湾海峡の緊張が続く中、両者は重大な問題で「断固として互いに支持し合う」ことを確認した。「世界の多極化」の推進でも一致し、米国中心の国際秩序に共同で対抗する姿勢を改めて打ち出した。

 両首脳の会談は2023年10月に中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」の国際会議でプーチン氏が北京を訪問して以来。プーチン氏は大統領として通算5期目に入った後、初めての外遊。習氏も23年3月に、国家主席として3期目に入って最初の訪問国にロシアを選択しており、互いに重視する姿勢を示した形だ。

 中国外務省によると、習氏は会談で「中露関係の安定した発展は両国の利益に合致し、世界の平和、安定、繁栄にも資する」と強調。プーチン氏は「中国と協力を引き続き拡大し、より公正で合理的な国際秩序の構築を推し進めたい」と応じた。

 ウクライナ情勢を巡って、習氏は会談後の記者会見で「双方は政治的解決が正しい方向との認識で一致した」と表明した。プーチン氏は「ウクライナ危機の解決に向けた北京の努力に感謝している」として中国の関与を歓迎した。

 プーチン氏は会見で、今回の訪中の優先課題が両国間の貿易・投資の拡大にあると指摘。2023年の中露間の貿易総額は約2400億ドル(約37兆円)と過去最高を更新するなど、米欧主導の対露制裁が強まる中で、ロシア産原油の輸入などを通じて中国がロシアの「戦費」を下支えしている現実が鮮明になった。

 中国がロシアと緊密な連携を維持するのは、米国との長期的な対立に備える戦略のためだ。一方で、米欧は、中国からロシアに輸出される軍事転用可能な製品が侵攻を長期化させているとの批判を強めている。今年に入り中国の一部銀行が対露制裁の影響を懸念してロシア側との決済を停止したと報じられており、今回の会談では、こうした状況への対応も議題に上ったとみられる。

 今回の訪中では、ラブロフ外相のほか、新内閣で国防相に任命されたベロウソフ氏、国防相から安全保障会議書記に転出したショイグ氏ら新政権を支えるメンバーもプーチン氏に同行した。【北京・岡崎英遠】

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