米軍のM2ブラッドレー歩兵戦闘車(2007年) Jo Yong-Hak-Reuters
<ウクライナ東部ドネツク州で撮影された動画には、ブラッドレーがTOW対戦車ミサイルでT80戦車を撃破する瞬間が捉えられている>
ウクライナの戦場で2000両以上もの戦車を失っているロシアだが、そこで大きな脅威になっているのがアメリカからウクライナに供与されたブラッドレー歩兵戦闘車だ。その高い攻撃力を示す動画が公開された。ドネツク州で、約2キロという遠方にいるロシアのT80戦車に正確な攻撃を繰り出し、見事に撃ち抜いて見せたのだ。
■【動画】ロシアの「天敵」ブラッドレー歩兵戦闘車...はるか遠方の戦車を撃ち抜く「長距離攻撃」動画
映像は、ウクライナ東部の激戦地ドネツク州の最前線で戦う同国の第47独立機械化旅団が5月8日に公開したもの。同旅団によると、ロシアの戦車は重対戦車誘導ミサイルで破壊された。
「ブラッドレー歩兵戦闘車がロシアのT80戦車と対戦!」と同旅団はテレグラムのチャンネルに投稿。「第47独立機械化旅団が(BGM-71)TOW対戦車ミサイルを使用して、敵の車両を破壊した。第2機械化大隊のディスカバリー班の功績だ」と説明し、「我々は任務を続ける!」と述べた。
本誌は、この映像が撮影された日時や場所を独自に確認できておらず、ロシア国防省にメールでコメントを求めている。
米政府はウクライナにブラッドレー186両を供与
米国が供給するブラッドレー歩兵戦闘車には、爆発弾と徹甲弾を発射する強力な25ミリ砲が装備されている。製造元のBAEシステムズによれば、「卓越した生存性、機動性、殺傷力」を持ち、最大10人を輸送できるという。
米政府は、2022年2月にロシアのウラジーミル・プーチン大統領が開始した戦争でウクライナを支援するため、ブラッドレー歩兵戦闘車を186両供与している。
今回公開された映像には、夜間の戦闘が続いた後、焼け焦げたロシアのT80戦車にクローズアップした空撮映像が映されている。
この戦争では、ロシアとウクライナ両軍で戦車の損害が拡大している。
オランダの公開情報分析サイトOryxは、ウクライナで本格的な戦争が始まって以来、ロシア軍の戦車2001両が破壊され、156両が損傷し、329両が放棄され、514両が鹵獲(ろかく)されたことを確認している。
一方、ウクライナ軍の戦車は547両が破壊され、68両が損傷し、61両が放棄され、132両が鹵獲されたことが確認された。
ドネツク州で着実に成果を挙げるロシア軍
ウクライナ軍は5月9日、ロシアは全面侵攻を開始して以来、戦車7429両を損失したと発表し、それには過去24時間に損失した11両も含まれるという。ウクライナ軍参謀本部は、毎日更新している戦争関連の情報の一部として、ロシアの兵力と装備の損失も発表している。本誌はウクライナの統計を独自に検証できていない。
死傷者の推計は様々で、ウクライナが発表する数字はたいてい欧米の同盟国の数字を上回っている。ロシアは、戦争の死傷者数や装備の損失に関する情報を公表することはほとんどない。
ウクライナ軍が弾薬不足に苦しむ中、ロシア軍はドネツク州で着実に成果を挙げている。ウクライナのオレクサンドル・シルスキー総司令官は4月下旬、「前線の状況は悪化している」とテレグラムで明らかにし、ロシア軍は「前線全体と複数の方角で活発に攻撃」しており、戦術的な成功を収めていると述べた。
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