イラン革命防衛隊は13日、イスラエルの特定の標的に対して数十の無人機(ドローン)とミサイルを発射したと発表した。イラン国営メディアが革命防衛隊の声明を伝えた。ダマスカスで8日撮影(2024年 ロイター/Firas Makdesi)

イラン革命防衛隊は13日、イスラエルの特定の標的に対して無人機(ドローン)とミサイルを発射したと発表した。イラン国営メディアが革命防衛隊の声明を伝えた。バイデン米大統領は、イスラエルと「揺るぎない」連帯を表明した。

シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館周辺がイスラエルによるとみられる攻撃を受けたことを巡り、イランは報復を行うと表明していた。

イランがイスラエル領を直接攻撃するのは初めてで、中東情勢が一段と不安定になる可能性がある。イスラエルとイランは長年対立を続けているが、これまでは代理勢力を介した紛争や、第三国にある互いの標的への攻撃にとどまっていた。

国連のグテーレス事務総長はイランの攻撃を非難し、「壊滅的な事態悪化の非常に現実的な危険性について強く警戒している」と述べた。

イスラエルは、国連安全保障理事会(安保理)に緊急会合の開催を要請。米東部時間14日午後4時(日本時間15日午前5時)に設定された。

イスラエル軍のハガリ報道官は14日未明、イランが13日からイスラエルに向けて200余りのドローンやミサイルを発射したと述べた。数十発の地対地ミサイルの一部が着弾し、女児が負傷したほか、南部の軍事施設が若干の損傷を受けたと述べた。

ネタニヤフ首相は攻撃開始の発表を受け、テルアビブの軍司令部で戦時特別内閣を招集した。

イスラエル軍は、北部のゴラン高原、ネバティム、ディモナ、エイラートがイランのドローンの標的になる可能性があるとして住民にシェルターへ避難する準備を指示したが、その後、攻撃の脅威がいったん収束したもようだとして、避難準備指示を解除した。

<米大統領、イスラエルと「揺るぎない」連帯>

バイデン大統領は攻撃の報を受け、イスラエルとの連帯を改めて強調するとともに、国家安全保障チームと会議を開いた。「攻撃に関する最新情報を得るため国家安全保障チームと会談したところだ。イランとその代理勢力がもたらす脅威に対するイスラエルの安全保障への米国のコミットメントは揺るぎない」とXに投稿した。

会議にはブリンケン国務長官、オースティン国防長官、バーンズ中央情報局(CIA)長官、ヘインズ国家情報長官、サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)らが出席した。

バイデン大統領は12日、イランが「間もなく」イスラエルを攻撃する可能性があるとし、自制するよう警告していた。

米国家安全保障会議(NSC)のワトソン報道官はイランの攻撃が発生した後の声明で「バイデン大統領の立場は明確だ。イスラエルの安全保障へのわれわれの支持は揺るがない。米国はイスラエルの人々と共にあり、イランからの脅威に対する防衛を支援する」と述べた。

欧州連合(EU)、英国、フランス、メキシコ、チェコ、デンマーク、ノルウェー、オランダなどもイランの攻撃を非難。

エジプト外務省は、地域とその人民の一段の不安定化や緊張につながらないよう「最大限の自制」を呼びかけた。

<イラン、米とイスラエルけん制>

イランの国連代表部は14日、「イスラエル政権が再び過ちを犯せば、イランの対応はかなり厳しいものになるだろう」と警告。米国はイランとイスラエルとの対立から距離を置くべきだとけん制したが、イランは今回の問題は「終わったものと見なしている」とし、事態を収束させたい考えも示した。

イランの国営メディアは情報筋の話として、ドローンに加え弾道ミサイルの第一波を発射したと伝えた。

シリアやヨルダンなど周辺国ではイランのドローンが確認され、米軍やヨルダン軍が撃墜した。英軍も戦闘機を発進させた。

イスラエル高官は、イランの攻撃に対し「大規模な対応」を計画していると述べた。同国テレビ、チャンネル12が14日早朝、伝えた。

[ロイター]


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