名誉毀損でトランプに訴えられた裁判で、取材に答えるダニエルズ(2018年4月16日、ニューヨーク) Lucas Jackson/File Photo/Reuters
<トランプの不倫口止め料疑惑の証人として出廷し、聞かれてもいない情事の詳細をまくしたてたダニエルズの証言で他にも驚かされたこと>
ニューヨーク州地裁で行われているドナルド・トランプ前大統領の不倫「口止め料」裁判では、審理開始から13日目の5月8日、相手とされるポルノ女優、ストーミー・ダニエルズが証言台に立った。
彼女の証言のなかで、トランプとのセックスについての詳細以外で驚かされた5つのポイントをまとめた。
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■ダニエルズはトランプを憎んでいる
トランプと元ポルノ女優のダニエルズは、メディアを通じて全米が見守るなかもう何年も醜悪な泥仕合を繰り広げてきた。2人の間に愛情のかけらもないのは当然だろう。
被告人側のスーザン・ネクリーズ弁護士にトランプを憎んでいるかと聞かれて、ダニエルズ(本名ステファニー・クリフォード)は「はい」と答えた。トランプが有罪となった場合、刑務所に入れられることを望むかとの質問には、「もちろん」と語気を強めた。
ダニエルズと不倫関係にあったトランプは、当時の顧問弁護士であるマイケル・コーエンに指示して、彼女に口止め料を支払わせ、その使途を隠すために業務記録に虚偽の記載をした罪に問われている。
民事訴訟では負けたが
コーエンは2018年に行われた自身の公判で、2016年の大統領選を控えた時期にダニエルズに13万ドルを支払ったことを認め、これはトランプとの関係を口外しないことを条件に、ダニエルズが要求した口止め料だったと証言した。
■ダニエルズはトランプに借金がある
トランプとの不倫話をメディアに売り込み、暴露本を出して大儲けしたかと、ネクリーズに聞かれると、ダニエルズは「痛い目にもあった」と答えた。
ダニエルズはトランプに名誉毀損で訴えられた民事訴訟で敗訴し、56万ドルの裁判費用をトランプに支払わなければならないが、うやむやにしていることを認めた。
口止め料を受け取ったときの契約では、口外すればダニエルズはトランプに100万ドルの違約金を支払うことになっていたが、これも支払っていない。
「どうなろうと、彼にカネを払う義理はないと思う」と、ダニエルズは言った。
■ダニエルズはセックスの詳細を述べたがった
トランプから初めてディナーに誘われ、ホテルのスイートルームを訪ねたときのことを聞かれると、彼はシルクかサテンのパジャマ姿だったと、ダニエルズは語った。
「私はすかさず彼をからかったわ......(プレイメイトたちに囲まれてパジャマパーティーを開いたことで知られるプレイボーイ誌の創刊者ヒュー・)ヘフナーさんのパクリなの、と」
ダニエルズが「ちゃんと服を着て」と言うと、トランプは素直に従い、ドレスシャツに着替えて来たという。
彼女はトランプに「お仕置き」もした。自分が話している最中に何度も口をはさむので、罰として雑誌で「お尻を」たたいたというのだ。
トランプに「ハニーバンチ」という愛称で呼ばれていたことも明かした。
トランプとの初めてのセックスについて事細かくしゃべりだすと、たまりかねたトランプの弁護団が異議を申し立てた。
裁判を取り仕切るジュアン・マーチャン判事も、法廷でこの手の話が微に入り細に入り語られることに困惑し、弁護側の異議を認めた。
速記が間に合わない
聞かれていないことまでまくしたてるダニエルズに、マーチャン判事が「それ以上詳細に立ち入る必要はありません」と釘を刺す場面もあった。
■ダニエルズはゆっくり話せと指示された
質問には簡潔に答えるよう、マーチャン判事は何度もダニエルズを諭した。
「質問をよく聞いて、それに答えるように」と、子供に言い聞かせるように言ったりもした。
ダニエルズがペラペラとトランプのパーティーについて語り出したときは、「答えは簡潔に」とたしなめられた。
ダニエルズが早口でまくしたてることも法廷を困惑させ、速記官が供述を記録できるよう、もう少しゆっくり話しなさいと、マーチャン判事とスーザン・ホフィンガー検事が再三言い聞かせた。
■トランプの弁護団は審理無効を主張した
ダニエルズが裁判と直接関係のない性的な事柄を事細かく述べ立てたため、弁護側は審理無効を主張した。
トランプの弁護士であるトッド・ブランチは昼食のための休廷後、午前中のダニエルの証言の多くはこのケースとは「全く関係がない」と述べ、弁護団を代表して審理無効を求めた。ブランチはまた、ダニエルズが話す内容は、2016年に彼女が最初にトランプとの関係を暴露する決意をしてから、ころころ変わってきたとも指摘した。
トランプ自身も休廷時間中に自分が立ち上げたSNS「トゥルース・ソーシャル」に、「何の証拠も持たない検察側はとうとう限度を越えた。審理無効だ!」と投稿した。
マーチャン判事もダニエルズの供述に「言わなくてもよいこと」が含まれていたのは認めたが、審理無効の要求は却下した。
ダニエルズに対する弁護側の反対尋問は9日にも行われる。
トランプが「とても、とても不公正な裁判」と呼ぶこの裁判は、11月の大統領選で政権復帰を目指すトランプがいま抱えている4件の刑事訴訟の1つにすぎない。トランプはその全てについて無罪を主張している。
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