香港高等法院(高裁)の上訴法廷は8日、2019年の政府に対する抗議デモで歌われた楽曲「香港に栄光あれ」の演奏やインターネット配信を禁止する命令を出す判断を示した。楽曲を巡っては中国との分裂を助長するとして香港政府が使用禁止を求めていたのに対し、高等法院は23年7月、表現の自由が脅かされかねないと退ける判断を示した。その後、政府が上訴していた。
上訴審は、国家の安全を守るために犯罪行為を防ぐ必要があると指摘して、曲の使用禁止を命令。学術や報道などの分野を禁止から除外することで、表現の自由を損なわないと判断した。
香港では、刑事事件の容疑者を中国側に引き渡せるようにする「逃亡犯条例」の改正を巡って、19年に大規模な抗議デモが発生。「民主と自由よ 永遠にあれ」などと呼びかけるこの曲が生まれ、デモ参加者らの間で広く歌われた。
「1国2制度」を採用する香港の国歌は中国国歌「義勇軍行進曲」と定められているが、インターネット上で検索すると「香港に栄光あれ」が上位に来ることが多い。香港政府は「国歌に対する侮辱だ」とし、米検索大手グーグルなどにも対処を求めていた。
今回の決定では、曲に関連したコンテンツを削除するよう企業に求める上でも禁止命令が必要だとしており、グーグルや音楽配信サイトを運営する米アップルなど海外企業も対応を迫られることになる。【台北・林哲平】
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