米下院議員のアミ・ベラ氏(渡辺浩生撮影)

【ワシントン=渡辺浩生】岸田文雄首相の公式訪問を通じたバイデン米政権側の成果について、下院インド太平洋小委員会で民主党筆頭委員のアミ・ベラ議員(59)は本紙取材に対し、地域パートナーシップの有効性を示し、中国に強いメッセージを与えたと強調した。岸田首相の議会演説はウクライナ支援を盛り込んだ緊急予算案採決の後押しになるとも語った。

――岸田氏はバイデン大統領が国賓待遇で招いた外国首脳として5人目。このうちインド、韓国、豪州、日本と4カ国がインド太平洋の首脳だ

「発足当初から政権は戦略的に準備してきた。日豪印とのクアッドを首脳級に格上げし、日米韓は昨夏の3カ国首脳会談を通じて過去にない強固なパートナーシップを確立した。今回は史上初の日米比の首脳会談も行われた。日本は最強、フィリピンは地域最古の同盟国だ。われわれの共通のゴールは地域の平和と安定、紛争抑止であり、中国へのメッセージにもなった」

――中国は反発している

「われわれの強固なパートナーシップを習近平国家主席が見たかったとは思わない。だが、南シナ海や台湾海峡の緊張を高めたその攻撃性によって、彼こそこうした連合体をつくらせた張本人だ」

――岸田氏の議会演説はどう受け止められたか

「終了後、民主、共和両党の仲間と話したが、世界における米国の役割が欠けてはならないとわれわれに再認識させる素晴らしい演説だったと皆が思った。岸田氏は、米国単独で責任を果たす必要はなく、最も親密な日本という同盟国がともに役割を担う考えも示した。未来の世代が同じ自由と平和を享受するために、価値観を共有する国々が力を合わせるときだと実感した」

――「日本はこれからもウクライナと共にある」との岸田氏の言葉は支援に反対の共和党議員に響いたか

「ごく少数の共和党議員が採決を遅らせているが、民主党、共和党議員の大多数が緊急予算を支持している。ウクライナ支援へ欧州諸国、日本、韓国、豪州が公正な負担を担っても、米国の関与なしでは機能しない。岸田氏のそうしたメッセージに下院議長(共和党のジョンソン氏)が耳を傾け、緊急予算の採決へ進むことを望んでいる。支援の継続と強い協調を確実にするという意味で、岸田氏はバイデン氏と同様の目標を描いたのだと思う」

アミ・ベラ氏 医師、カリフォルニア州選出下院議員。2013年の初当選以来、インド系で最古参の議員。

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