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<100年以上前に唯一の標本が失われていたチリ近海のカスザメだが、このほど地元漁師によって偶然捕獲され新研究が始まった>

体の表面がトゲで覆われ、また翼が生えたような奇妙な姿から「天使のサメ」とも呼ばれる希少なカスザメの一種がチリで発見された。絶滅の危機に瀕しているカスザメだが、特にこの種のカスザメが発見されるのは久々で、100年以上ぶりに全面的な研究が行われることとなった。

■【写真】体がトゲで覆われ、翼が生えた?奇妙な姿...チリで発見された超希少な「天使のサメ」

チリ近海に生息するカスザメが初めて記録されたのは1887年だが、研究のベースとなった標本はすでに火災で失われてしまっている。さらに4月25日付の『European Journal of Taxonomy』に発表された新たな研究によると、当初の研究は不完全で不正確なものだったという。

体表がとげのようなもので覆われているのが特徴のこの海洋捕食者は、最初の研究の後も目撃はされており、基本的な情報だけは明らかにされてきた。しかし、全般的な研究が行われたのは今回が初めてだ。

新たな研究のきっかけとなった2匹のオスのカスザメは、チリで漁をしていた漁師が偶然捕獲した。その標本が首都サンティアゴの国立自然史博物館に送られ、100年以上ぶりに全般的な研究が実施された。

2匹のカスザメは体長90センチ以上で、体の背面と頭部が「フック形」のとげのようなもので覆われていると研究者らは説明している。

生息地が脅かされるカスザメの保護政策が急務

現在、カスザメの仲間は24種が確認されている。今回の研究によれば、カスザメは「すべての主要な海洋の大陸棚の、温帯から熱帯の海域」に生息し、体は平たく、サメというよりはエイに似ている。浅い沿岸水域に生息しているため、「漁業、沿岸開発、生息環境の劣化など」人間の活動に大きく影響され、絶滅の危機に瀕していると考えられている。

「カスザメが目撃されることはますます稀になり、本来の分布域から事実上絶滅した種もある」と研究者らは述べ、保護政策が急務であると指摘している。

米海洋大気局(NOAA)によると、カスザメは「待ち伏せ捕食者」で、「獲物が頭上を通過するのを待ってから攻撃する」。主に硬骨魚類、ガンギエイのような底生動物、甲殻類、軟体動物、頭足類を食べるという。

生物の新種は毎年、数え切れないほど発見されているが、消滅または絶滅したと思われていた種が姿を現すこともある。最近では、1800年代にオハイオ州で狩猟により絶滅寸前になった肉食動物のフィッシャーとみられる動物の死体が、同州の道路脇で見つかり、この種が以前の生息域より西に移動していることが示唆された。

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