ホンダと日産が経営統合に向けた協議を始めた背景にあるのが、EV=電気自動車や自動運転などの開発競争の激化です。開発で先行する中国の「無人運転の街」を取材しました。
■日産株取得目指し 鴻海がルノーと交渉
日産とホンダの経営統合協議を巡り、世界の大手企業の動きも慌ただしくなってきました。
台湾の中央通信によりますと、当初、日産の買収を検討していた台湾の大手電子機器メーカー鴻海が日産に直接、株式取得を打診したものの同意が得られず。
そのため、かつて日産のナンバー3、現在は鴻海のEV=電気自動車事業の責任者をフランスに派遣。日産の筆頭株主であるルノーと買い取りを巡る交渉を開始したと伝えました。
一方で、日産とホンダは持ち株会社を設立して傘下に両社が入ることを含めた経営統合に向けて協議を進める方針ですが、専門家によりますと、予断を許さない状況だといいます。
自動車アナリスト 中西孝樹氏
「日産というのは非常に業績が傾いております。そういう意味においては9000人の人員の削減だとか100万台の能力削減、これから実行していかなければいけない。その実行が本当にできるかどうか、みたいなことも含め、まだまだ不透明な要素はあると思いますし、ホンダの内部でも経営が傾いている日産との提携に反対する意見というのは存在しています」
仮に統合が実現すると、日産が筆頭株主の三菱自動車を加えた3社の販売台数の合計は800万台となり世界3位に。1位と3位を日本勢が席巻することになります。
しかし、EV=電気自動車の販売台数に限れば、アメリカのテスラと中国のBYDが世界のトップと2位で、日本メーカーはトップ5に入っていないのが実情です。
中西孝樹氏
「いわゆる伝統的な自動車メーカー、さらに負担が上がっているということで二重投資をより軽くしないと、将来の技術に投資してもそこまで果たして生き残っていられるのか、こういう危機意識がある」
■“無人運転の街”クルマの未来は
EVの技術で世界を先行している中国では、自動運転の実用化も国を挙げて進めています。
実験区となっている北京市東南部の亦庄では、すでに無人のタクシーや荷物配達車が実用化。さらに、無人のパトカーも。
現在では自動運転実証の世界的中心地となっています。
北京市民
「びっくりすることはない。なぜかというと、産業チェーンに関しては中国は世界で最も完全なものを持っているから。このような無人車の製造技術からその後の運営生産まで、中国にはその環境が整っている」
中西孝樹氏
「自動車というものが半導体だとか、ソフトウェアだとか電池とか、そういうものがコアな技術になって自動車の提供していく価値みたいなものが単なる移動じゃなくて様々な価値に拡大していく、言ってみるとスマホのような、サービス志向の製品に変わっていっている」
自動車業界は現在、100年に1度とも言われる変革期。メーカーが生き残っていくためにはEVや自動運転など、新たな技術で力を伸ばすことが急務となっています。
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