韓国で禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長(67)への注目が高まっている。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による3日の「非常戒厳」宣布の際は、国会周辺の塀を乗り越えて議場に駆けつけ、戒厳令の解除要求決議案の可決にこぎつけた。政治家に対する信頼度を問う世論調査ではトップに躍り出た。
禹氏は今年4月の総選挙で最大野党「共に民主党」から出馬し、5選された。同党は国会で過半数を占め、禹氏は国会議長に選ばれた。戒厳令が宣布された際は、深夜にソウル市内の公邸から国会へ駆けつけた。
警察官らが正門前に立ちはだかっていたため、拘束されないよう脇にあるフェンスを乗り越えて敷地内へ。議場には全議員300人のうち190人が集まり、戒厳令の解除を要求する決議を全会一致で可決した。禹氏は可決後、「国会が国民と共に民主主義を守る」と強調した。憲法の規定で大統領は決議に従わねばならず、尹氏は4日未明、戒厳令解除を表明した。
戒厳令のさなかには、特殊部隊の兵士らが国会議事堂にガラスを割るなどして突入した。だが、国会職員や議員秘書らがバリケードを築くなどして本会議場への侵入を阻止した。
禹氏は16日、フェイスブックへの投稿で「国会職員には戒厳軍を防ぐ過程で負傷した人もいる。何日も家に帰れなかった人もいる。率先垂範して民主主義を守ってくださった」とねぎらった。そのうえで、コーヒー計500万ウォン(約53万円)分をプレゼントすると述べた。国会内のコーヒーショップで事前に支払いを済ませたという。
世論調査会社「韓国ギャラップ」が13日に発表した調査で、禹氏を「信頼できる」と答えた人は、共に民主党代表で次期大統領候補と目される李在明氏の41%を上回り、56%で1位だった。【ソウル福岡静哉】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。