ドームや尖塔が撤去され「中国風」に改修されたイスラム教礼拝所「竇店清真寺」=北京市房山区で2024年1月24日、岡崎英遠撮影

 米政府系のラジオ自由アジア(RFA)は16日、中国南部・雲南省玉渓市で、イスラム教の指導者が警察に拘束され、大規模な抗議活動が起きたと報じた。玉渓市はイスラム教を信仰する回族が多く暮らす地域で、宗教への統制を強める当局との間で緊張が高まっている模様だ。

 RFAによると、拘束されたのは玉渓市にある大営清真寺(モスク)のイスラム教指導者の馬玉巍氏だ。馬氏が15日昼に市内のレストランを訪れたところ、突然、警官約60人に囲まれて連行されたという。馬氏の両親もそれぞれ別の場所で拘束された。

 馬氏らの拘束をきっかけに、回族の地元住民ら数百人が地元政府の庁舎前に押し寄せ、馬氏らの釈放と信教の自由を求める抗議活動に発展したという。

 当局は関与した回族住民への取り調べを行っている。また、省都・昆明市など近隣都市から軍隊や警察官が玉渓市に多数派遣され、高速道路は封鎖された。通信を遮断するための特殊車両が投入されたとの情報もある。

「中国風」に改修された「松楡清真寺」=北京市内で2024年1月26日、岡崎英遠撮影

 中国政府は近年、宗教の信仰よりも中国共産党への忠誠を優先させる「宗教の中国化」政策を掲げて、イスラム教などへの締め付けを強化している。

 玉渓市では2023年5月に、地元当局が中東風のモスクのドームや尖塔を取り除く工事を強行しようとして、回族住民らが反発。数千人がモスクの周囲で抗議活動を展開し、警官隊と衝突する事態となった。【北京・岡崎英遠】

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