中国家電大手・海信集団(ハイセンス)傘下、海信家電集団の鮑一副総裁が12日、中国南部・広東省仏山市の本社で日本メディアの取材に応じた。鮑氏はトランプ次期米大統領が掲げる対中関税引き上げについて「米国市場で販売される家電の多くは中国産だ。関税(引き上げ)などの貿易政策が多く打ち出されるほど、米国内の消費者に打撃を与えることになる」と懸念を表明した。
11月の米大統領選後、中国企業幹部が日本メディアにトランプ次期政権を巡る問題について実名で言及するのは珍しい。
トランプ氏は11月、中国に対し、違法薬物への取り締まりが十分でないことを問題視し、一律10%の追加関税を課すと明言。鮑氏はこうした保護主義的な経済政策について「企業にとっても消費者にとっても、トランプ氏が何かを打ち出すのは望ましくない」と指摘し、「米国市場は一層開放して各国との協力を進めた方がいい」と述べた。
一方、中国での不動産不況に伴う国内経済の停滞については「家電などさまざまな分野にも影響が及ぶのは否めない。家電市場は調整期に入っている」と分析。「人々の生活の質が一定のレベルまで達し、必要な家電もそろっている。新しい家電を買うニーズもそれほど強くなくなってきている」として、消費者の購買欲を刺激するような商品の開発が必要だと強調した。
海信集団は、中国山東省青島市に本社を置く1969年創業の世界的な家電メーカー。2018年には薄型テレビ「レグザ」ブランドを東芝から譲渡され、日本国内で傘下企業がシェアを拡大させている。海信家電集団は海信集団の中核企業で、冷蔵庫やエアコンなどの白物家電が主力商品。【仏山で畠山哲郎】
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