韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は12日、3日夜に宣布した「非常戒厳」について説明する2度目の談話を発表した。「弾劾しようが捜査しようが、私はこれに堂々と立ち向かう」と強調し、保守系与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表らが求める即刻退陣を拒否した。また、尹氏は野党を「国を滅ぼそうとする反国家勢力だ」と批判し、「野党の議会独裁に対抗し、韓国の自由民主主義と憲政秩序を守ろうとした」と戒厳令宣布を正当化した。
尹氏は戒厳令を宣布する際も、野党が国会で予算案を削減したり、政府幹部を弾劾しようとしたりする行為を「反乱を画策する明白な反国家行為」だと主張していた。
最大野党「共に民主党」は、14日夕に尹氏に対する弾劾訴追案を採決する方針。検察など捜査当局は尹氏を内乱容疑で捜査を進めている。
これについて、尹氏は談話で「国を救おうとする非常措置を国を滅ぼそうとする内乱行為と見ることは、韓国の憲法と法体系を深刻な危険に陥れることだ」と主張。「国政まひの亡国的非常状況において国を守るため、国政を正常化するため、大統領の法的権限として行使した非常戒厳措置は高度な政治的判断だった」とも強調した。
国会に送った約280人の軍部隊については「秩序維持に必要な小規模なもの」だとも述べ、国民に国会などの問題を広く知らせるための「象徴的なもの」だったと主張した。
一方、韓氏は12日、記者会見で尹氏に対する弾劾訴追案に賛成する立場を表明した。尹氏は戒厳令解除後、国民に対し「任期について与党に一任する」とする談話を発表していた。このため韓氏はこれまで、弾劾は国民に与える混乱が大きいとし、弾劾ではない早期退陣の方法を模索してきた。
だが、韓氏は12日の記者会見で、尹氏が「早期退陣に応じる考えがないことを確認した」として、尹氏が与党に任期を一任するという「国民との約束を破った」と批判。「弾劾で大統領の職務執行を停止させることが、現時点では唯一の方法だ」と訴えた。
7日の国会の弾劾訴追案の採決では、与党議員のうち3人を除いて投票に参加せず、訴追案は投票不成立で廃案となった。韓氏は会見で14日に予定されている採決では、議員らに対し自らの判断で投票させる考えを示した。【ソウル日下部元美】
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