ロシア軍の攻撃を受けたヘルソンの住宅(2024年10月) Handout / Latin America News Agency via Reuters

<ウクライナ南部ヘルソンでドローンを使った「人間狩り」と称される民間人への攻撃が繰り返されており、SNSには次々と陰惨な映像が投稿されている>

ロシア軍がウクライナ南部の都市ヘルソンで行っている、ドローンを使った「ヒューマン・サファリ」(人間狩り)に、7月中旬以降、ドローン1万機以上が使われ、新たな局面を迎えていると、英紙フィナンシャル・タイムズが伝えた。SNSには民間人を標的にした「人間狩り」のおぞましい映像がいくつも投稿され、怒りが高まっている。

■【動画】ロシア軍がヘルソン州で行う「人間サファリ」とは? 民間人を攻撃の「練習台」にする、おぞましい実態

ヘルソン州の州都ヘルソンでは夏以降、ロシアの小型ドローンによる攻撃が9500回を超えている。同州のオレクサンドル・プロクジン知事と地方検察、警察によると、これらの攻撃によって37人が死亡、数百人が負傷した。

ドローン攻撃は、ヘルソンから大量の市民を脱出させている。かつて30万人いた市の人口は、現在は6万人にまで減少している。

地元の人々は、ヘルソンにおけるロシアの作戦をヒューマン・サファリと呼んでいる。人、動物、車両が攻撃の標的になっており、英国の非営利組織「情報レジリエンスセンター」(CIR)は88件の攻撃を検証している。CIRはまた、ロシアのドローン攻撃は隣接するアントニフカも攻撃していることを発見した。

戦場で実行するため住民を標的に「攻撃の演習」か

作戦に使用されるドローンは、FPV(一人称視点)ドローン、中国製のマビック、ロシア軍の大型のランセットなどで、日常的な場所を狙うことが多いという。

マビックは、中国のDJI社製で、ウクライナ軍とロシア軍の両方で使用されている。ロシアのランセットは、「神風ドローン」とも呼ばれる自爆ドローンだ。「自律的に標的を見つけて攻撃できる多目的兵器」として、ロシア軍はウクライナへの全面的な侵攻を開始した2022年2月から使用している。

攻撃に利用されるロシアのドローンは、射程距離は最大15キロ、時速100キロで飛行し、小型の「花びら地雷」と呼ばれる対人地雷や、手榴弾、簡易爆発物を搭載していることが多い。発射されて爆発すると火災を引き起こす焼夷弾を搭載することも可能だ。

CIRの調査員のアダム・キャンベルは、ドローン操縦士は「人が車両から降りた瞬間に、車両の上か横に」爆発物を投下しているとし、「この手法は、戦場で再現するためヘルソンで(民間人を相手に)練習されている可能性が高い」と述べた。

CIRは、ドニプロ川の右岸で活動するロシアの部隊が、ヘルソンとアントニフカの住民を「実弾訓練」の標的にしている可能性もあると指摘している。

住民はドローンの探知機を携帯して警戒を強める

プロクジン知事は、ヘルソンの市民が標的になっているというCIRの見解に同意した。また、「ロシアはこの地で再び攻勢をかけようとしている」と述べ、ロシア軍がドニプロ川を渡るために、小型船舶300隻を集結させたと明らかにした。

CIRは最新の報告書の中で、民間人と彼らの車両がドローンから投下された弾薬の「標的になったとみられる」ケースと、特定の個人15人がドローンから投下された弾薬の標的にされたケースを特定した。

ヘルソンの市民は、ドローンが近くで旋回していることを知らせる小型探知機を携帯し始めたと報じられている。ドローンを避けるため、特定の時間にしか外出しない人もいる。

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