米首都ワシントンの連邦控訴裁判所(高裁)は6日、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を親会社の中国企業から分離しなければ米国内での事業を禁止する法律を支持する判断を示した。ティックトックの「憲法で保障された『表現の自由』を侵している」との申し立てを却下した。
控訴裁は、中国による違法な個人情報収集などの懸念について「米政府は説得力のある証拠を示している」と評価。「ティックトックと利用者に重大な意味を持つ」と判決の影響の大きさに言及しつつ、「敵対国が米国民のデータを収集する能力を制限することなどに限定した内容だ」として、憲法修正第1条に違反しないとの判断を示した。
ティックトックのスポークスマンは、毎日新聞の取材に「法律は不正確で欠陥のある情報に基づいている」と批判。「最高裁には米国人の表現の自由を守ってきた歴史があり、今回も期待する」とし、判断を最高裁に委ねる考えを示した。
法律は、ティックトックを運営する中国IT大手「字節跳動(バイトダンス)」に対し、ティックトックを米国の敵対国以外の企業に売却するよう求め、期限内に売却しなければ米国内でのアプリ配信などを禁じる内容。違法な情報収集に加え、世論操作の懸念も強まっており、連邦議会の超党派の賛成で4月に成立していた。
ティックトックなどは5月に法律の差し止めを求めて提訴した。法律が定める売却期限は2025年1月19日。ただし、大統領には90日間の期限延長を認める権限が与えられている。
トランプ次期大統領は前政権時代にティックトックを禁止する考えだったが、今回の大統領選では一転して「ティックトックを救う」などとソーシャルメディアに投稿した。ただ、売却期限の翌日に発足するトランプ政権には、対中強硬派を中心に禁止論者が多いとみられる。【ワシントン大久保渉】
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