非常戒厳を巡り、韓国では混乱が続いています。与党が大統領の職務停止が必要などと訴えたことで、7日にも尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領への弾劾(だんがい)訴追案について採決が行われる見通しです。
■「職務停止を」与党が態度一変
尹錫悦大統領 この記事の写真抗議のプラカードを掲げ、階段を埋め尽くした野党議員たち。国会前にも、抗議の意思を示す大勢の市民が集まりました。
韓国の尹大統領に対する弾劾訴追案を巡る攻防。この日は混乱続きの1日となりました。
これまで尹大統領の弾劾訴追には否定的な立場をとっていた与党「国民の力」のハン・ドンフン代表。しかし6日、態度を一変させます。
突然の方針転換 ハン代表「大韓民国と国民を守るために尹錫悦大統領の速やかな職務執行の停止が必要だと判断しています」
突然の方針転換。その理由は。
ハン代表「大統領が政治家たちを逮捕するために情報機関を動員した事実を、信頼できる根拠を通じて確認しました」
「政治家たちの逮捕」。国会の委員会で6日、国家情報院がこんな発表をしています。
「逮捕対象者リストには、ハン代表らの名前」 国家情報院の発表「尹大統領は戒厳令を発令した直後、国家情報院の第一次長に電話をかけ『この機会に全員捕まえて片付けろ』と指示した。逮捕対象者リストには、『国民の力』のハン・ドンフン代表らの名前があった」
自身を排除しようとした可能性がある尹大統領への反発から、弾劾支持に回ったのでしょうか。
極秘会談その後、尹大統領とハン代表との間で極秘会談が行われましたが…。
ハン代表「大統領が職務を停止すべきだという考えに変わりはありません。大統領からこの判断を覆すほどの言葉が聞かれなかった」
与党トップの方針転換に、党内でも混乱が起きました。
与党「国民の力」 チョ・キョンテ議員「この事態をいち早く終わらせないといけないし、いち早く大統領の資格を剥奪(はくだつ)するべきだと思っています」 与党「国民の力」 ソン・ソクジュン議員
「私は党の一部で、議員団の一部です。私がどうのこうのいう立場ではありません」
与党は6日、今後の対応を話し合う議員総会を開き、8時間以上、話し合いましたが結論は出ませんでした。
次のページは
■戒厳令発出時、軍が選挙管理委員会へ■戒厳令発出時、軍が選挙管理委員会へ
続々と集まる民衆。この時、ある情報が錯綜(さくそう)していました。
「2度目の戒厳令」のうわさ広がる「尹大統領が2回目の戒厳令を出す」と野党議員や市民の中でうわさが広がっていたのです。
車を並べてヘリが着陸できないように戒厳令が出た直後、兵士の乗ったヘリが降り立った国会裏のグラウンド。車を等間隔に並べ、着陸ができないようになっていました。
戒厳令発出時、軍が選挙管理委員会へ一方、戒厳令が発出された日に、軍が国会とは別の場所に向かっていたことが新たに分かりました。向かった先はソウル近郊の選挙管理委員会です。
その目的について、戒厳令を尹大統領に進言したとされるキム・ヨンヒョン前国防相が地元メディアの取材に、こう答えたといいます。
「疑念を解消するために必要な措置を取った」 キム前国防相(ハンギョレ新聞の取材に対し)「多くの国民が不正選挙に対して疑念を抱いており、その疑念を解消するために必要な措置を取ったものだ」
選挙とは、今年4月に行われた総選挙のこと。与党が惨敗したのは不正選挙のせいだと主張するために、選挙管理委員会で証拠を押さえようとしていた、そんなシナリオが報じられています。
注目される尹大統領の今後。もし弾劾訴追案が可決されれば、新たな大統領を選ぶ必要が出てきます。
(「グッド!モーニング」2024年12月7放送分より)
この記事の写真を見る鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。