ロイター通信は6日、内戦が続くシリアで米国が支援しているクルド人主体の反体制派組織「シリア民主軍」(SDF)が東部デリゾールを制圧したと報じた。シリアでは11月下旬以降、各地の反体制派勢力の動きが活発化しており、情勢は一気に不安定さを増している。
ロイターなどによると、デリゾールでは6日、政府軍やアサド政権を支援する親イラン武装組織がほとんど交戦せずに市内から撤退し、SDFが支配下に置いた。SDFはさらにデリゾールから南東約120キロにあるイラクとの国境検問所も制圧したという。
イラクにはアサド政権を支持するイランの影響下にある武装組織があり、その一部はシリア政府軍を支援するため越境している。国境検問所がSDFに制圧されたことで、こうした組織の増援にも影響が及ぶ可能性がある。
また、別の反体制派組織は6日、南部ダルアー周辺の政府軍基地を制圧した。ヨルダンとの国境検問所も一部を支配下に置いたとみられ、ヨルダン内務省は6日、シリアとの唯一の国境を閉鎖したと明らかにした。
一方、アレッポやハマを制圧し、米国がテロ組織に指定する「ハヤト・タハリール・シャム」(HTS)を主体とする反体制派は6日、北部から南進して中部ホムスに向けて進軍を続け、街に迫った。ホムスでは5日夜から多くの住民が避難を始めているほか、治安部隊の拠点も放棄されたとの報道もある。一方、政府軍はこうした情報を否定しており、「安定した頑強な防衛線」を築いていると強調した。
ホムスは首都ダマスカスとアレッポに次ぐ第3の都市で、各地の主要都市に通じる交通路の要衝でもある。反体制派が制圧すれば、ダマスカスへの攻勢も視野に入ることになり、アサド政権の軍事的優位はいっそう揺らぐことになる。
ただ、アサド政権を支援するロシアやイランは、軍事支援を強化する方針を示している。ロイターによると、イラン政府高官は「武器やミサイル、無人機などをシリアに送る必要がある」と語った。今後、ホムスやダマスカスを巡る攻防が激化する可能性がある。【カイロ金子淳】
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