中東のエネルギー資源大国サウジアラビアは近年、観光・娯楽産業の振興を国策として急ピッチで進めている。サウジのハティブ観光相がこのほど毎日新聞の書面インタビューに応じ、「年間の観光客数1億5000万人を2030年までに達成する」との新目標を明らかにした。
従来、30年までの目標としてきた年間1億人を23年に達成したため、さらなる上積みを目指す形だ。
サウジは国家収入の大半を石油に依存する。だが、国際エネルギー機関(IEA)は、気候変動対策などのため世界の石油需要は30年までにピークを迎えると予測している。
サウジは「脱石油時代」到来を見越し、実権を握るムハンマド皇太子兼首相の主導で、経済多角化を目指す国家計画「ビジョン2030」に基づく開発に着手した。観光分野では、首都リヤド郊外の娯楽都市キディヤシティーや紅海沿いのリゾートなど大規模な開発計画を進めている。
ハティブ氏によると、23年は国内観光客が8190万人、外国人観光客が2740万人に上ったという。うち日本人客は前年の約2倍となる1万3000人超で、「日本人の関心も高まっている」と歓迎した。
ハティブ氏は「サウジは世界的な観光地を目指して野心的な道のりを歩んでいる。観光客とビジネスの双方にとっての機会を作り出すため、観光産業を変革している」と説明する。
30年のリヤド万博や34年のアジア競技大会など多くの国際イベントが控える中、「技術革新と文化が共存し、訪問者にとって忘れられないような経験を提供する場を作り出す」と強調した。
厳格なイスラム教信仰で知られるサウジへの外国人来訪者は従来、イスラム最大の聖地メッカの巡礼目的が大半だった。政府は19年に観光ビザを解禁。巡礼者や外国人観光客を国内各地の観光施設などへ集客することで経済活性化を目指している。【リヤドで金子淳】
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