ウクライナはドイツから米国製地対空ミサイルシステム「パトリオット」の供与を受けている Jens Büttner/dpa via Reuters
<ウクライナ国内10カ所のインフラ関連施設や民間の建物などが被害を受けたロシアによるドローン攻撃。しかしその多くはウクライナ軍によって撃墜された>
ウクライナ政府の関係者は最近、同国軍がロシア軍ドローン88機を破壊したと発表した。ウクライナ国防省が公開した動画には、空から襲い掛かる敵機に向けて地上から発射されたミサイルなどが、次々と標的を爆発させる様子が収められている。ロシアはドローンやミサイルによる攻撃を強化しているが、一方でこうした兵器の損失も急増している。
■【動画】ウクライナの空に飛来した大量の「露軍ドローン」、防空システムが次々に撃墜する映像公開
これは11月末にウクライナ軍航空司令部から、ロシアからウクライナ国内のさまざまな地域に向けて132機のドローンが飛来したと発表されたときのものだ。ウクライナ空軍は11月29日の現地時間午前9時頃、首都キーウやチェルニヒウ、チェルカーシ、スーミ、ハルキウ、ポルタワ、ジトーミル、ドニプロペトロウシク、ザポリージャやオデーサを含む10の地域に飛来したロシア軍のドローン88機を撃墜したと発表した。このほかに41機がレーダーから消え、1機はロシアに引き返したことを確認したという。
ロシア軍は「大量のミサイルとドローンを使用」
フェイスブックに投稿した最新情報の中でウクライナ軍は、「ウクライナの複数の地域がロシア軍による攻撃を受けた結果、インフラ設備や自動車、民間の建物や居住用の建物が損傷を受けた。被害者の救出作業が行われている」と述べた。
本誌はこの件についてウクライナ国防省とロシア国防省にメールでコメントを求めたが、これまでに返答はない。
フランスのルモンド紙はウクライナ軍情報当局の関係者(匿名)の発言を引用し、ウクライナ側はドローンが位置情報を得るために使用しているGPSの信号を妨害したり、偽の位置情報を送信したりするなどして、ロシア軍の自爆型ドローンをロシアやベラルーシに向かわせていると報じた。
ウクライナ軍がフェイスブック上で共有した投稿によれば、ロシア軍は11月25日から26日にかけてウクライナ国内のエネルギー関連施設や変電所などの「重要インフラ」を狙った大規模攻撃を実施した。この攻撃には計188のミサイルとドローンが使用され、ウクライナ軍はミサイルのうち90%近くを撃墜したと主張した。
また同軍はフェイスブックへの投稿の中で、「敵は最近、空からの攻撃の際に大量のミサイルとドローンを使用している」と述べ、さらにこうつけ加えた。「敵は空からの攻撃に近代的な手段を使用し、絶えずその改良を行っている。これらの手段には熱誘導および電波誘導式のトラップやロケットに直接搭載するREB(電子戦)防護装置などが含まれる」
1日あたりのロシア軍の兵士の犠牲者数は増加傾向に
ウクライナ空軍はまた、ロシア軍は「可動式の武器を使用する部隊や戦闘機による作戦に大きな影響を及ぼす気象条件も考慮に入れている」とも指摘。「攻撃時に多くの地域で濃霧や雲が観測されたために、パイロットや内務省の部隊が効果的に任務を遂行できないことがあったためだ」と説明した。
同空軍はその上で、このような攻撃には「最大限の兵力と装備」を使用した対応が必要だと述べた。
ウクライナ軍が集計したデータによれば、ロシア軍は11月末には24時間で2030人の兵士と300点以上の武器および軍事装備を失ったという。ロシアが一日で2000人以上の兵士を失ったのはこれが初めてで、この数字はロシアがウクライナに侵攻して以降で最大の損失を被ったことを示している。
また同データによれば、下記グラフのとおり、過去数カ月でロシア軍の兵士の犠牲は増加傾向にある。
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