内線が続くシリアでは、反体制派勢力とシリア軍との間で激しい戦闘となっています。こうしたなか、救護活動を続ける民間団体の隊員がJNNの取材に応じ、一部の病院が機能不全に陥っていると明らかにしました。

激しく発砲する反体制派勢力。「シリア人権監視団」によりますと、攻勢を強める反体制派勢力は3日、中部の主要都市ハマ近郊でシリア軍と衝突。民間人2人が死亡したほか、複数のけが人が出ました。

こうしたなか、負傷者を救護する民間団体の「シリア民間防衛隊」、通称「ホワイトヘルメット」の隊員がJNNの取材に応じました。

ホワイトヘルメット隊員 イスマイル・アブドラさん
「彼ら(政権側)は病院やホワイトヘルメットの関連施設、民間人の命を支えるものすべてを無差別に、また、意図的に爆撃しています」

反体制派勢力が先月、大規模攻撃を仕掛けて以降、シリア軍や支援するロシア軍が空爆を実施。1日にはアレッポ市内の大学病院が攻撃されました。

一部の病院は閉鎖を余儀なくされ、医師や医療スタッフが去るなど機能不全に陥っているということです。

シリアでは、2011年からの内戦で激戦地となったアレッポ市内などでアサド政権による徹底的な攻撃が行われ、化学兵器も使用されました。

ホワイトヘルメット隊員 イスマイル・アブドラさん
「いま、2016年に見たものと同じことが起きようとしています。私はアサド政権が禁止された化学兵器の使用を繰り返すのではないかと恐れています」

こうしたなか、国連安全保障理事会の会合が開かれ、アメリカとロシアが非難の応酬を繰り広げました。

アメリカ ウッド国連次席大使
「世界中のテロ支援国家を支えるロシアは、この問題で我々に意見する立場にない」

アメリカの代表は、シリアのアサド大統領とそれを支えるロシアによる攻撃で民間人が犠牲になっているなどと懸念を表明。

これに対し、ロシア側も「ワシントンはテロと戦う意思がない」などとアメリカのシリア反政府勢力への対応を批判し、非難合戦となりました。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。