米国の政権交代に伴う退任を控えるトーマスグリーンフィールド国連大使は2日の記者会見で、任期中の後悔について問われ、「平和と善意をもたらす魔法のつえを振ることができたなら」と心情を吐露した。昨年10月に始まったイスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスの戦闘を巡り、イスラエルを支持する米国は、停戦を求める国連の決議案に拒否権行使を繰り返してきた。
米国は今月、国連安全保障理事会でバイデン政権としては最後の議長国を務める。トーマスグリーンフィールド氏はガザ情勢に対して、議長国としての「最大の関心事」だとし、「戦闘を終結させ、(ハマスに拘束されている)人質を取り戻すために絶え間ない外交を続ける」と述べた。
一方、国際刑事裁判所(ICC)によるイスラエルのネタニヤフ首相らへの逮捕状発付は「正当化できない」と改めて主張。ICC関係者への制裁を求める主張が米国の超党派で高まっていることについては「コメントしない」とした。
2021年発足のバイデン政権で国連大使に就いたトーマスグリーンフィールド氏は任期を振り返り、米国の指導力と他国への敬意を「取り戻した」と強調した。安保理常任理事国ロシアによるウクライナ侵攻を「最大の課題」に挙げた。また、各地の紛争で多くの人々が苦しみ、住む場所を追われている現状に触れ、「平和と安全をもたらす責任を負う」立場から悔いが残ると述べた。
トランプ次期米大統領は、来年1月に発足する新政権でステファニク下院議員を国連大使にあてる方針だ。国連や加盟諸国の間では、トランプ氏の国連軽視の姿勢や拠出金削減のおそれなどへの懸念が広がっている。【ニューヨーク八田浩輔】
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