プラスチック汚染根絶のための条約策定を目指す政府間交渉委員会の最終会合は30日、12月1日の会期末が迫る中、最大の焦点の生産規制を巡って各国間の溝が埋まらず、断続的に交渉が続いた。
交渉委のルイス・バジャス議長(エクアドル)が29日に示した条約草案には、生産規制に関して「条文を設けない」という案と、プラ素材削減の世界目標を第1回締約国会議で採択することなどを盛り込んだ案が併記された。
条文を設けない案は、サウジアラビアなどプラ原料の石油を輸出する産油国の主張を踏まえたものだ。一方、世界目標についての案は、欧州連合(EU)などが28日に提案した内容が反映された。この提案にはアフリカ、南米諸国など80カ国以上が賛同したが、主要7カ国(G7)の中では日本と米国が参加を見送った。
経済協力開発機構(OECD)は10月に公表した報告書で、プラ汚染を止めるには、生産段階を含むプラ素材・製品のライフサイクル全体での対策が必要だと指摘している。
議長草案について、世界自然保護基金(WWF)のプラ廃棄物・ビジネス部門の責任者、エリン・サイモン氏は「強力な規制を盛り込んだ条約を求める提案が多数派から支持されているにもかかわらず、草案は私たちが必要としているものにはほど遠い」と批判する声明を発表。環境NGOグリーンピースのグラハム・フォーブス国際プラスチック条約代表団代表も30日の記者会見で、野心的ではない議長草案を基に交渉が進んでいるとして「非常に危険な段階だ」と懸念を示した。【釜山・大野友嘉子】
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