SNSをめぐり、16歳未満の利用を禁止する世界で初めての法案が、オーストラリア議会で可決されました。
この記事の写真 オーストラリア・アルバニージー首相「SNS企業に社会的責任を果たさせる世界の先駆けとなる措置です。SNSは、子どもに害を与えているのです」
インスタグラムやTiktok、Xなど、他者とつながるSNSが対象とみられていて、企業側に、利用できないようにする措置を講じるよう求めています。違反すると、罰金は最大で約50億円。来年から施行されます。
アメリカなどでは、保護者の同意を必要とするなど、一定の規制があるものの、16歳未満すべてで禁止とするのは世界で初めてです。
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■“世界初”の規制に賛否の声「抗議をしなきゃ。これは本当におかしい」 17歳(ロンドン)
「私はiPhone発売の年に生まれ、ソーシャルメディアとともに育ちました。今の16歳未満は、SNSなしで、どうやって生きていけばいいかわからない」 高校生(ハバナ)
「SNSから得られるポジティブな側面も、この法案はすべて制限してしまう」 エルシーさん(11・オーストラリア)
「若者たちが本では学べないことをSNSで探せるようにすべきです」 エニーさん(16・オーストラリア)
「みんな『SNSが良くない』と知っているのに止められないのは、社会に深く根付いたコミュニケーション方法だからです。一律に禁止しても、誰かが“回避策”を編み出すでしょう。年齢をごまかしたり、偽造IDで規制をすり抜けたりするだけで、効果はないと思います」
どうやって規制していくのか、具体策は未定ですが、それでも規制を掲げたのは、子どもたちへの悪影響の懸念が急速に高まってきたからです。
メンタルヘルスに悪影響を及ぼす情報が目に入るだけでなく、この数年、偽情報を信じ込んで死に至る事例や、ネットいじめによる自殺が相次ぎました。
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■子どもは号泣…親の思いはネットいじめの撲滅に取り組むアリ・ハルキックさん。2009年、息子・アレムさんが自ら命を絶ちました。
ネットいじめで息子を亡くしたアリ・ハルキック さん「この法律さえあれば、息子は絶対に生きていました。私は、毎日、その罪悪感と向き合っています。結果が出るまで、2、3年はかかるかもしれないが、子どもが子どもらしさを取り戻すことができると思います。」
メルボルン在住のレオン朋子さん(44)。長女は来年13歳。中学入学をきっかけに、スマートフォンを買ってあげる約束をしています。
これから使っていこうというときに持ち上がった「SNS禁止法」。
メルボルン在住・レオン朋子さん「いちいちおうかがいを立てなくても、自分の携帯でアカウントをもって、アクセスできる。好きなことをずっと見ていられるのを、すごく楽しみにしていた。泣いていた。大粒の涙を流して。『いったん一旦、オーストラリアを出国したら、一時的だけどアクセスはできるよ。この世の終わりじゃないよ』一時的に日本滞在している間は使えるよという話をして、少し気分を紛らわせようとした。これで守られるということとか、ポジティブなメッセージを渡して、『何で?』と思っている気持ちを解消できるようにしたい。それしかできないですよね、私としては。“命を守る”、できることって限られているが、大人が子どもの命をできるだけ守っていこうと」
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■16歳未満“SNS禁止”へ◆SNSの規制をめぐっては、オーストラリア以外にも、世界各国でさまざまな動きがあります。
SNSを“規制”する動きが顕著なのがアメリカ。
インスタグラムやTikTokを念頭に、7割の州で、未成年のSNS利用を規制する法案を“検討”しています。そのうち12の州で、法律の制定に向けた動きがあり、実際に制定している州もあります。
例えば、ユタ州では、去年、18歳未満の若者がSNSアカウントを作る際に、保護者の同意を義務付ける法律が制定されました。
こうした“規制”の動きは、ヨーロッパの国々でもみられます。また、EUの法律で、未成年者に対する広告規制があります。
しかし、技術的な問題もあります。
例えば、フランス。15歳未満の子どもがSNSのアカウントを作る際に、保護者の同意を義務付ける法律が、去年、制定されました。ただ、利用者の年齢を確実に認証するのは、技術的に難しく、施行されないままの状態となっています。
日本は、どうなっているのでしょうか。
三原じゅん子こども政策担当大臣は29日、「半年程度かけて、諸外国の取り組み事例の把握や、有識者のヒアリングなどを行い、課題と論点整理を行う予定」としています。こども家庭庁は、今週、ワーキンググループを設置し、これから議論していくということです。
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