医療先進国とされる韓国で今、医療現場が崩壊の危機に直面しています。
韓国の救急医療の最前線、命を救う現場は悲鳴を上げていました。
医療先進国の1つ、韓国。
しかし、市民からは「急に大けがをした時に救急室に行っても治療を受けられないとなると困る」「親戚に看護師の子がいますが『絶対に病気になるな』って」と医療への不安の声が次々に上がっています。
FNNが向かったのは、ソウル郊外にある大学病院の救急外来。
この病院が受け入れる患者の数は、韓国内でもトップクラス。
続々と救急車がやってきますが、重傷患者の対応に当たる外傷センターには医師が1人しかいません。
ある医師は「うちの病院では100人いた研修医が3人になりました」と話します。
理由は、若手研修医の集団辞職。
韓国では2024年2月以降、1万人近くの医師が一斉に辞職し職場に戻ってきていないのです。
職場を去った理由は、韓国政府が打ち出した医療改革への抗議です。
医学部の定員を2000人増やすという政府の方針に反発し、研修医たちが集団辞職したのです。
混乱は、あらゆる医療現場に広がっています。
日本でも人気の俳優、チャン・グンソクさん。
2023年10月、甲状腺がんの診断を受けましたが、医師不足の影響によりがんの手術を受けられたのは、診断から7カ月後だったと明かしました。
最も深刻な影響を受けているのが、救急医療です。
この日、病院に搬送されてきたのは、バイクで単独事故を起こしたという中年の男性。
男性は頭を強く打つなどして意識不明の重体でしたが、近くの病院から受け入れを断られ、30分以上かけてこの病院に搬送されてきました。
韓国では救急搬送先の病院が見つからず、患者がたらい回しにされるケースが相次ぎ、中には死に至ったケースも確認されています。
こうした報道が相次ぎ、市民の間で不安が高まっています。
医師は「近いところがダメだから遠くに搬送させる場合が多くなった」と話します。
医療現場の混乱は、現役の医師にとどまりません。
政府の医療改革に医学部の学生も反発し、全国の医学部の学生約1万9000人のうち、97%が今も授業をボイコットしています。
2025年1月には医師の国家試験が行われますが、例年3000人程度が受けるのに対し、今回は300人余りにとどまっています。
さらに、医師が国外に脱出する動きも。
韓国の医師向けに作られたインターネット上の掲示板には、「日本に挑戦する医師たちの会」と書かれていました。
ネット上では、日本の病院による採用説明会の情報や日本で医師になるために必要な手続きの方法などが紹介されています。
政府は改革を強調するも解決の道筋が見えておらず、危機的状況はさらに深刻化する恐れが出ています。
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