ロシア軍を迎え撃つウクライナ兵 Vadym Plyashechko/Handout / Latin America News Agency via Reuters Connect

<ロシア国内クルスクのウクライナ占領地における反攻作戦では、ロシア軍は多数の死傷者を出しながら3日間で小さな村2つしか奪還できなかったと、専門家は言う>

ロシア軍が、同国クルスク州内を敵に向かって進軍している。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ドナルド・トランプが次期米大統領に就任する前に、ウクライナに奪われた領土を奪還する構えだ。

ウクライナがロシアのクルスク州に越境攻撃を開始して3カ月、ウクライナ軍の総司令官オレクサンドル・シルスキー大将によると、ロシアは、北朝鮮兵を含む「数万人の敵兵」を送り込み、ウクライナ軍を追い出そうとしているという。

トランプが米大統領選に勝利したことはウクライナにとって何を意味するのか、ウクライナと同盟国は固唾を呑んで見守っている。トランプは、この戦争を24時間で終わらせると宣言し、ウクライナに軍事支援することを繰り返し批判してきた。

英紙テレグラフは、英国防情報当局の分析を引用し、ロシアが国境付近の新たな発射地点からウクライナ軍占領地へ自爆ドローン攻撃を増加させる可能性が高いと報じている。

クルスク州での反攻作戦の勢いで、ウクライナ軍占領地の南の国境にあるスームィ州に攻め込む可能性もある、と同紙は伝えている。

プーチン大統領は、来年1月20日にトランプが大統領に就任して戦争終結を求めてくるまでの間に、ウクライナに奪われた全領土の奪還を試みるとNATOはみている。戦闘の激化は必至だ。

ウクライナのアナリストで、2014〜2015年に軍勤務経験のあるヴィクトル・コヴァレンコは、本誌にこう語った。「トランプが、ウクライナに対してより柔軟な対応と資源を認めることを期待する。ウクライナが、戦場での勝敗、停戦合意、和平合意、あるいはそのすべてにおいて、優位に立てるようにするためだ」

だがトランプの出方によって、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領のチームは「どんなシナリオも描けるようオープンでなければならない。核保有国と通常戦争で消耗戦を戦っているというのは、前例のない状況だからだ」

「従来とは異なる解決策が必要になるが、どのような解決策かは、現時点で予想がつかない」とコヴァレンコは付け加えた。

米国の独立系シンクタンク戦争研究所(ISW)は11月11日、クルスクに集結したロシア軍はウクライナ軍の主要前線に猛攻をかけ、スジャ北方にある陣地を奪還してダリノ東部を前進していると発表した。

ウクライナ軍北部作戦管区の報道官ヴァディム・ミスニク大佐によると、ロシア軍は、ウクライナのスームィ州やチェルニヒウ州、ハルキウ州に対しても、戦闘機、ドローン、多連装ロケットシステム(MLRS)を使った地上攻撃を10〜15分間隔というハイペースで実施しているという。

隣国のベラルーシ政府によると、ロシア軍の攻撃の多くはそれでもクルスクの占領地に落下しており、ウクライナ領内の3倍も高密度の攻撃にさらされているという。

ISWによれば、ウクライナ軍はクルスク州でわずかながら前進している。ISWは、同州コレネヴォ近郊のノヴォイヴァノフカ東部での前進を示す、位置情報つきの映像を示した。ロシアと同様、ウクライナの戦いも時間との競争になっているのだ。

ロシア軍は猛攻の陰で、甚大な損失を被っているという。ウクライナ政府が11月12日に発表した最新の推定では、ロシア側の死傷者は前日だけで1950人にのぼった。

独紙ビルトのオープンデータアナリスト、ユリアン・レプケはテレグラムへの投稿で、ロシアは過去3日間の反攻作戦では、多数の死傷者を出しながら「ポグレブキとダリノという小さな村2つ」しか奪還できなかったと述べている。

レプケはさらに、ロシアは28台の装甲車両も失ったとして、「ウラジーミル・プーチンと彼の将軍たちにとって大きな痛手だ」と記した。

(翻訳:ガリレオ)



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