米ニューヨークで開かれたトランプ次期大統領の選挙集会で演説するスティーブ・ウィトコフ氏=2024年10月、AP

 トランプ次期米大統領は12日、実業家のスティーブ・ウィトコフ氏を中東担当特使に起用すると発表した。ウィトコフ氏はトランプ氏のゴルフ仲間で、2025年1月の大統領就任式委員会の責任者も務めている。トランプ氏は第1次政権で、イスラエルと一部のアラブ諸国が国交を樹立する「アブラハム合意」を仲介した実績があり、信頼が厚い側近の起用は中東外交に対する意欲の表れとみられる。

 トランプ氏は12日の声明で、ウィトコフ氏は「ビジネスや慈善活動の世界で非常に尊敬されている指導者だ。平和に向けて不屈の声となってくれるだろう」と述べた。イスラエル周辺で続く戦争の終結に加えて、イスラエルとサウジアラビアの国交正常化交渉、イランを巡る交渉などを担当するとみられる。

 ウィトコフ氏はニューヨークを拠点に不動産業で成功を収めた。外交や中東での目立った経験はないが、第1次政権で中東外交を担ったトランプ氏の長女の夫クシュナー氏も政権入り前は同様に経験が浅かった。トランプ氏は北朝鮮との外交で経済発展の観点から和平のメリットを説いた経緯がある。中東でも同様のアプローチをとるため、経済に明るいウィトコフ氏を起用した可能性がある。【ワシントン秋山信一】

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