アメリカ大統領選挙で返り咲きを決めたトランプ氏。自国の利益を優先する「アメリカ第一主義」を掲げ、日本を含む外国からの輸入品に10%~20%の関税を課す方針を示しています。そのアメリカに製品を輸出する新潟県三条市の企業は今、どのような影響が出るのか輸出先の変更も含め、対応を検討しています。

■年間約1億円の売り上げ!アメリカで人気の“大工道具”

三条市に本社を置く道具メーカー。

1946年に大工道具の販売で創業し、以来、DIYキットやアウトドアグッズ・防災用品など様々な商品を扱っていますが、2019年から強化しているのがアメリカへの輸出です。

【角利産業 第二営業部 渡邉卓也 課長】
「(Q.今まさにアメリカに輸出しているのは?)日本の伝統的な大工さんが使っているような、のみ・かんな・のこぎりといった手工具。伝統的な両刃のこぎりは海外でも『RYOBA SAW』と固有名詞で呼ばれて人気」

5年前、アメリカの大手通販サイトを通じて、創業時からの商品の要・大工道具をアメリカに輸出。去年には、独自に海外向けのホームページを立ち上げました。

【角利産業 第二営業部 渡邉卓也 課長】
「アメリカは日本に比べてDIY市場が大きいというところで、のこぎり・のみ・かんなの需要が一定数あるんじゃないかなと思って進出してみた」

現在では、年に約1億円を売り上げ、伸び盛りだというアメリカへの輸出事業。製品を使用した人たちが、SNSを通じて木製の手工具を使い、DIYを楽しむ様子を発信しています。

【角利産業 第二営業部 渡邉卓也 課長】
「純粋にうれしい。弊社の道具が海を越えて、海外の方が気に入って使っていただいて」

■心配される関税引き上げ「場合によっては輸出先変更も」

こうして手応えをつかむ一方、心配されるのが、次のアメリカ大統領に就任するトランプ氏の経済政策です。

自国の利益を優先し、日本を含む外国からの輸入品に10%~20%の関税を課す方針を示しています。

現在の関税はというと…

【角利産業 第二営業部 渡邉卓也 課長】
「現状だと、弊社のメイン商材の道具・手工具に関税はかかっていない」

現状は0%の関税が10%~20%に引き上げられれば…

【角利産業 第二営業部 渡邉卓也 課長】
「関税の部分はもう商壁でしかないというか、ハードルには必ずなる…ちょっとどうなるか分からないが、心配はしているところ。場合によっては、輸出先を変えてみたり、輸出する品目をちょっと考えないといけないという可能性も考えてはいる」

そうして販路を確保することの背景には、伝統的な道具を生産する地場産業を守りたいという思いがあるといいます。

【角利産業 第二営業部 渡邉卓也 課長】
「技術の伝承を絶やさないというところで、製造技術と生産者がこれからも継続的に生産できるような販売販路を弊社としては確立していかなくてはいけない」

技術をつなぐという確かな信念を持って、世界経済の変化に対応する構えです。

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