労働組合の中央組織・連合は18日の中央執行委員会(中執)で、年末にまとまる公的年金制度改革に関連し、「第3号被保険者制度(3号)」の廃止を提起する方針を確認した。3号は会社員らに扶養される専業主婦らが年金保険料を納付しなくても老後の基礎年金を受給できる仕組み。連合として正式に廃止を求める考えを打ち出したのは初めて。
3号は、厚生年金に加入する会社員や公務員らの配偶者で、年収130万円未満の人が対象。約700万人の3号のうち98%は女性。もともとはサラリーマン世帯の専業主婦も自分名義の年金権を確保できるよう、1985年に導入された。だが、家族の形態や働き方が多様化し、人手不足が加速する中、近年は働き控えを招く「年収の壁」の温床になっているとの批判もあった。
連合の廃止案は、まずは将来的な廃止を明示し、被扶養の基準を年収130万円から縮小し、完全に廃止するまで段階を踏む。10年程度の経過期間を設け、第1段階として新たな3号にはできない制度にし、既存の3号のうち▽配偶者の年収が850万円未満▽子を養育する親――などの受給要件を満たす人を3号に、それ以外は国民年金に加入する「第1号被保険者」とする。
同時並行でパートら短時間労働者の厚生年金への適用拡大を進めた上で、第1段階のプロセスでも3号に残った人を1号に区分して廃止する。ただし、3号の期間があった受給者の年金は減額せず、過去の3号の加入期間に基づく基礎年金も減額しない。自営業者ら1号の所得補塡(ほてん)の仕組みや、基礎年金の国庫負担割合の引き上げを検討していく――との構想だ。
芳野友子会長は18日の記者会見で、「女性がどんな生き方を選択しても、社会保障制度は公正平等であるべきだ。共働き世帯が主流となり、超少子高齢化でもある。負担と給付の公平性を考えれば、もうバランスは崩れている」と廃止提起の意義を強調した。
ただ、厚生労働省が今回の公的年金制度改革で、3号の廃止について具体案をまとめるのは難しい状況だ。【宇多川はるか】
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