写真はイメージ=ゲッティ

 「給与だけでは最低限の生活どまり」――。2025年卒の就活生が、新卒で入社する企業の給与に対し、こうした不満を持っていることが就職情報大手マイナビの調査で明らかになった。副業や投資を検討する学生は6割超に上り、経済の先行きに対する漠然とした不安が浮き彫りになっている。

 石破茂首相が「日本創生解散」と銘打った衆院解散の総選挙は15日に公示される。自民党の「裏金問題」を発端とした「政治とカネ」問題が大きな争点となっているが、「若者のカネ」を巡る不安を取り除く経済政策も問われそうだ。

 調査は23年11月~24年9月に複数回にわたり、25年3月卒業見込みの大学生、大学院生を対象にウェブアンケートで実施した。

 副業を検討する学生は全体の66・0%、投資を検討する学生は76・9%に上った。投資については18・6%が「必ず行う」と回答した。

 副業を検討する理由は、将来の経済的な不安が大きい。「老後の貯蓄(生活費)が足りない」(39・4%)、「日本の景気が悪くなる」(35・9%)、「年金がもらえないかもしれない」(30・8%)などが多かった。「結婚を希望しているが結婚できるかわからない」(26・6%)との声もあり、4人に1人が経済的な理由で結婚をためらう実態も明らかになった。

 連合がまとめた民間企業の今春闘の平均賃上げ率は定期昇給を含めて平均5・1%だった。人手不足が続く建設業界では、院卒の初任給を30万円台まで引き上げた大手ゼネコンもあり、25年新卒の初任給も上場企業全体の約半数が更なる引き上げを検討している。

 ただ、25年新卒の就活生が抱く給与へのイメージは決して明るくはない。「就職先の給与のみで最低限の生活はできると思う」との回答は49・4%とほぼ半数に上り、「満足する生活が続けられそう」(36・7%)を12・7ポイントも上回った。

 それでも、給与への不安が必ずしも転職志向に結びついているわけではなさそうだ。新卒で入社する企業で「定年まで」働きたい学生が20・1%、「10年以上」が20%に上り、合計で4割が1社で長く働きたいとの考えを示した。

 9月の内々定率は89・8%で、前年同期に比べ3・3ポイント上昇した。人口減少で就活生全体の数が減少しているため、必要な人材を早い段階で確保したい企業が増えているとみられる。【中島昭浩】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。