東京商工リサーチは12日、日銀の金融政策変更に伴う企業の資金調達への影響を聞いたアンケート調査を公表した。メインバンクから今後の借入金利の引き上げに言及があったと回答した企業は約3割を占めた。そのうえで、7割超の企業は0・1%の金利上昇を金融機関から打診されても「受け入れる」と回答しており、多くの企業は今後の経営環境の前提に金利上昇を織り込み始めている様子がうかがえる。
調査は4月1~8日にインターネットで実施。資本金1億円未満の中小企業4024社と、同1億円以上の大企業377社の計4401社が回答した。
日銀は3月に開いた金融政策決定会合で、17年ぶりの利上げを決めた。将来的には、企業が運転資金や設備投資に使うために民間金融機関から借り入れる際の金利も上昇が見込まれる。
調査で借入金利が変化する時期を聞いたところ、「今年7~12月に上昇」が37・5%で最多で、「6月末までに上昇」(18・8%)が続いた。一方で「既に上昇」と回答した企業も17・7%あった。既に上昇した企業を含め今年中に上昇すると考える企業は計74%(3159社)で、日銀の政策変更前の2月に実施した前回調査よりも4・5ポイント増えた。
金融機関と企業が借入金利についてやりとりをする場面も増えているようだ。調査によると、今後半年間の借入金利について、「引き上げをはっきり伝えられた」「可能性を示唆された」とした企業は計30・8%で前回調査比5・2ポイント増だった。一方で、最多は「今後の金利の話はしていない」で65%超だった。
借入金利の引き上げを金融機関から打診された場合、上昇幅が大きくなるほど許容できる企業の割合が低下することも明らかになった。0・1%上昇では、全体の77・3%が「受け入れる」と回答したが、0・3%上昇は37・3%、0・5%上昇は19・1%と下がった。
東京商工リサーチは「既に金融機関から金利上昇を示唆された企業は、コロナ禍や原材料・人件費のコスト高などの影響を受ける業種が多い。借り入れコストも上昇する時代に突入し、企業も金融機関も生き残り競争が激化しそうだ」と分析している。【藤渕志保】
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