私たちの生活に欠かせない「水」を運ぶために必要な「水道管」の寿命は何年かご存じだろうか。法律では水道管の寿命=耐用年数は40年と定められている。

実は今、全国で耐用年数の40年を超えた水道管が増えていて、秋田県内も例外ではない。県内に張り巡らされた上下水道の水道管を全てつなげると約8900キロメートル。このうち2割近くにあたる1600キロメートル余りが、設置から40年以上経過している。

修理や交換をしなければ水が使えなくなってしまう恐れもあるが、水道管を1キロ引くのに「1億円かかる」ともいわれていて、人口減少に伴って自治体の水道料金の収入が減り、修理のための財源が不足しているのが現状だ。

こうした中、上下水道に頼らずに生活で使った水や雨水を浄化して繰り返し使うシステムの実証実験が、仙北市で始まった。

仙北市西木町上桧木内の住宅に設置されたのは「小規模分散型水循環システム」だ。

開発を手がけた東京のベンチャー企業「WOTA」と通信大手の「ソフトバンク」が連携し、気温が下がり、雪が降り積もる中でも問題なく使用できるかを検証する。

実証実験の様子を8日、仙北市の田口知明市長などが視察した。

このシステムは、トイレや風呂などから出た生活排水を、専用の機械で飲んでも問題がないレベルまで浄化し、再び使えるようにする。

また、ためておいた雨水を殺菌処理し、飲み水に変える。飲料水とトイレ用の水は別系統で処理されるので安心だ。

排水処理から給水までをその家の中で完結できるため、老朽化が進むこれまでの水道インフラに代わる存在になることが期待される。

システムが設置された住宅の洗面台を実際に使った田口市長が「なかなかの水圧。もったいなくて出せない」と話すと、担当者は「大丈夫です。循環しているので」と応じた。

 仙北市・田口知明市長:
「寒冷地でも問題なく導入できるという結果を期待しているし、私たちが直面している水道インフラのさまざまな課題に対して、選択肢が一つ増えることで地域が変わってくると思うので、良い結果が出ればいいと思う」

システムが設置された住宅では、2025年3月までソフトバンクの社員が生活し、検証する。

2024年1月の能登半島地震では、多くの避難所でこのシステムを使ったシャワーが設置された。災害現場での活用も期待される。

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