これまで都内と千葉県内の老人ホームで職員が一斉退職したという問題を「イット!」でお伝えしてきました。

このうち千葉県の施設は10日で食事の提供が打ち切られてしまいます。

ついに迎えた住み慣れた老人ホームから退去する日。

2024年4月、この施設に入所したばかりの80代の夫婦。
迎えに来た家族の手を借りながら、そろって部屋をあとにします。

ガランとしたホールのテーブルには、わずかに残った入居者たちが。

入居者の家族は「いきなりこの1週間以内で、『10日に出て行ってくれ』と言われたので、こっちもびっくりして、移転先が決まったのでそちらに連れて行こうと思って来た」と話しました。

台車で荷物を運び出す家族たちが行き交い、雑然とした玄関ホール前。
駐車場では多くの人たちが荷物をまとめ車に積み込んでいました。

そして、玄関前では、「お世話になりました」と、見送る介護スタッフに別れのあいさつ。
ゆっくりと車に乗り込み、施設をあとにします。

入居から退去通告まではわずか半年余り。

転居先探しに奔走した家族は、運営会社に憤りの声を上げていました。

入居していた80代夫婦の家族:
こちらの施設の社長さんには、本当にどうしようもなく怒りが抑えきれない。

職員の情報提供をきっかけに、「イット!」が連日取材を続けている“見捨てられた老人ホーム問題”。

職員への給与未払いのまま姿を消した、運営会社社長。

老人ホームの運営会社社長:
弁護士と話をして法務対応でやっていこうと思う。

東京都内や千葉市などで展開していた老人ホームの職員は、入居者たちを残し一斉退職。

入居者の家族:
明日で食事も出ないということなんで、退去というか準備ですね。(Q.入居は?)6月ですね、今年の。(Q.半年たってない?)いや全然この前で(入居で)搬入したばかりなんで。

千葉市内の施設では10日での食事の提供打ち切りが告げられ、退去ラッシュが始まっていました。

一方、東京・足立区の老人ホームには、介護ボランティアに駆け付けたという元職員の姿がありました。

--ボランティアの目的は?

元職員:
ただただ入居者さんを10日までに出す。やっぱ入居者さんが一番つらい。泣いて出た人いますし、きょうも。

同じ会社が運営する神奈川・横浜市内の施設でも、入居者の退去ラッシュが始まっていました。

退去する高齢者の受け入れ先のスタッフは「夫婦の方は『どうしても一緒の部屋に、また引っ越したい』と言っているが、結局希望はかなわなかった。どうにか一人一人の部屋が見つかったけど、すごく悲しんでいる。心が痛い」と話しました。

この横浜の施設で働いていた元職員は「朝ご飯がヨーグルト1個だけという、本当に衝撃だった。コスト削減でそうしていると思った」と

施設内で撮影された映像を見ると、引っ越しの荷物なのか、廊下には段ボールなどが散乱し雑然としていました。

問題の運営会社横浜の施設・元職員:
汚物でトイレが汚れていたり、カビだらけの壁紙がはがれ落ちていた。

通告された食事の提供打ち切りが明日に迫る中、今も施設内に残る入居者はどうなるのか。

問題の施設が1つある千葉市は今後の対応について、施設に職員を毎日派遣し雑務や転居支援などを実施。

給食会社などに10月以降も食事を提供できないか調整しているとしています。

10日、退去した80代の夫婦は無事に新たな施設に到着。

そして…。

入居者:
(Q.ご飯どうだった?)昼はおいしかった。

家族:
あしたはおすしって書いてあった。

※FNNでは「老人ホーム一斉退職問題」を継続取材しています。情報提供してくださる方は、ぜひこちらまでご連絡ください。

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