脱線事故や信号無視など今年に入り、12件のトラブルが続いている熊本市電の検証委員会です。この中で市交通局は安全管理の体制を再構築する考えを示しました。

一方で委員会が行ったアンケートなどの結果から乗務員らが不安を抱えていることが明らかになりました。

今年5月に設置された委員会、4回目の今回は九州運輸局の担当者も出席しました。九州運輸局は7月に起きた脱線事故後に、保安監査に入っています。

【九州運輸局の担当者】
「安全管理規定で安全管理体制が届けられている。それとは別に熊本市交通局における組織の規定があり、2つが合致していない。二重の規範の状態になっていた。その実態の中で、交通局の組織の規定が優先され動いていることを確認している」

九州運輸局は市交通局に対し、講じた措置をまとめ、10月21日までに提出するよう求めています。

熊本市交通局では現在、安全統括管理者が営業所長を兼任していますが、市交通局はこれを改め、専任の安全統括管理者を置き、乗務員の指導教育などを専門に担う部署を設置する方針を示しました。

一方、9日の検証委員会では委員が乗務員や職員へ独自に行ったヒアリングやアンケートについて報告されました。

【吉田 道雄 会長(熊大名誉教授)】
「〈上下分離〉には不安の声が相当上がっている。事務局としては『これだけ説明している』という思いはあると思うが、聞くと十分理解できていない方が数人でなく相当程度あがっている」

熊本市は来年4月から、『上下分離方式』の導入を目指しています。7月に設立した公社が『上』の部分で運行や車両管理を担い、乗務員は正職員化されることになっていて、熊本市は『下』の部分で車両の購入などを行います。

【吉田 道雄 会長(熊大名誉教授)】
「安心につながっていないという姿がアンケートから見えている」

吉田 会長はヒアリングやアンケートの結果について最終報告書と併せ、詳細に示す考えを明らかにしました。

検証委員会は今年12月をめどに最終報告書をまとめる方針です。

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