「広島和牛」のブランド価値を高めるため伝統の血統を守っていこうと、庄原市で初めての見学会が開かれました。
ブランド牛の源を「ツイセキ」します。

【五十川記者】
「大人がすっぽり隠れるほどの大きさのウシです。非常におっとりとしているんですがレジェンドのウシなんです。名前があります。花勝百合(はなかつゆり)です。オスですが『百合』とい名前、非常に由緒ある名前なんだそうです」

「比婆牛」「神石牛」「元就」、それに「広島牛」の4つのブランドの総称が「広島和牛」。毎年、品種改良を重ねた限られたオスウシだけが「広島和牛」の繁殖のための種雄牛に抜擢され、1頭1頭に名前がつきます。

【畜産技術センター育種繁殖研究部・日高健雅部長】
「オスですので非常に凶暴な一面があります」
Q:本当にそうなんですか?
「精液を採取するためにはおとなしくさせないといけないので、日々調教をしていまして」

【五十川記者】
「そういう品格のようなものも備えている」

【畜産技術センター育種繁殖研究部・日高健雅部長】
「たしかに…」

庄原市の畜産技術センターに県内の生産農家が見学にやってきました。
生産農家は基本的にメスを飼っていて、凍結保存したオスの精液を器具で注入することで種付けが完了します。
そのため、直接種雄牛に見て触れられる「展示会」は今回が初めてです。

【神石高原町から生産農家】
「今までであれば、関係者の人に話を聞いたりパンフレットの写真を見たりで判断していたんですけど、実際に見させてもらってよりその特徴がよくわかったので、大変勉強になりました」

「広島和牛」の年間の出荷頭数はおよそ4000頭。
そのうち、広島ならでは血統をひく頭数はおよそ4分の1に限られます。
広島県内で育てられ肉質等級4等級以上が「広島牛」と定義されます。
そのため県外で生まれていたり親のどちらかが県外のものを含まれるため、必ずしも純粋な「広島の血統」とは言い切れないんです。

【畜産技術センター・河野幸雄センター長】
「霜降りをつくる能力の高い種雄牛が全国にたくさんいるんですね。利益が高まるということでそちらのウシを交配する人がまだまだ多いと」

そもそも、広島県は1000年以上前からウシの取引が活発で、和牛のルーツの一つになりました。
まだ遺伝の仕組みが解明されていなかった江戸時代の後期から、国内で先駆け品種改良が進められた歴史があります。
ところが、1980年代の輸入自由化を契機に外国産に打ち勝つため「霜降り」が重視されるあまり、県外からの血統が入り急速に純粋な広島牛の「血統」が失われました。
関係者は今回の展示会などを通じ、純粋な広島牛の血統を再構築してうまみとコクのある肉の味を売りにしていくことを目標にしています。

【畜産技術センター・河野幸雄センター長】
「まだまだ霜降りを好まれる客層もありますし、一方で赤身のおいしさを求めるお客様もどんどん増えてきている状況です。その時代時代にあった和牛生産を仕組んでいくというのが重要と思っています」

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